英才の拾い物
□拾い物と手裏剣もどき
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「わっ、と、」
「避けているだけでは終わらないぞ。」
「え、ちょ、追い詰めないで下さいっ!!」
ひょいひょいと槍を避けながら鍾会さんの話に時々返事をする。
避けることは出来る。今のところ傷はない。
さて、追い詰められてる気がするぞ。言葉のほうじゃなくて、槍のほうに。
不意にぴっ、と頬に小さな傷がはいる。先端がかすった。
やば、なんて思っていると柄で足下を掬われる。
しまった、しかし時既に遅し。
振りかぶられた槍に覚悟を決める暇もなく、心許なくも手を槍を防ぐように出し目を瞑る。
ガキィン
金属同士があたる音がして目を開く。
鍾会さんが助けてくれたのか、なんて思ったが、違うらしい。
髪を弄っていた手をそのままに、目を見開いている。
「お前…なんだそれ。」
鍾会さんの言葉にえ、なんて思って手元を見ると大きな手裏剣らしきものが手のひらあたりで浮いている。
…。
「なんじゃこりゃあ…。」
「…やはり追い込んだのは正解だったか。」
え?これが私の武器だっていうんですか?
この得体の知れない手裏剣もどきが?
「それで戦ってみろ。」
「え、」
「武器さえあれば体も勝手に動くだろう。」
なんじゃそりゃあ…。
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