英才の拾い物

□英才の拾い物
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「…まぁいい。他に何か質問は。」

「…ここ、どこです?」

「…。」


…あれ、黙った。

眉間に皺がよっている。

…言えないんじゃなくて、言い方がわからないって感じだ。


「…それは、この部屋がどこかか?それともこの世界がどこかか?」


…え?世界単位?

…とりあえずこの世界に何か起こっているなら知っておきたいし、…というか、もう全部聞くか。


「…どちらも、お願いします。」

「…この部屋は私の部屋だ。今はとある豚に恩を売るため豚についている。」


…豚?


「それからこの世界は…戦国と三國の融合。魔王遠呂智が造り上げた世界だ。」

「魔王…おろち…?」


おろち…?おろち…。

遠呂智…。

どこかで聞いたことあるような、ないような…。


「他には?」

「そのおろちって、今は?」

「…人間が倒した。しかしそのあと厄介な仙人が増えて復活、その時も人間が倒した。」

「仙人?」

「仙界の住人だそうだ。私も詳しくは知らん。」


仙界…。

ううん、なんか頭の中こんがらがってきた…。


「…うーんと、整理するとここは鍾会さんの部屋で、鍾会さんは豚に今はついていて、この世界は魔王おろちが造り上げた世界で、でもおろちはもういない、と。」

「まぁそんなところだな。」

「今この世界の治安は?」

「いいとは言えないな。妖魔を駆逐するために人間がせいを出している。しかし人間同士の争いも絶えずある。そしてまだ遠呂智の復活を企んでいる者もそれを待っている者もいる。それに加えて・・・妖蛇も現れた。」


…大変な世界だなぁ。

なんでこんな世界で私記憶喪失しちゃったんだろう。

厄介って言われて当然かぁ。

…あれ?

妖蛇は蛇だよな…。

じゃあ、


「妖魔って何です?」

「………説明し難い。」

「…百聞は一見に如かず、ですな。」


ばさり、と布団を掻き分けて、立ち上がろうとすると鍾会さんに止められる。


「ですな、じゃないだろう。」

「え?」

「え?でもない。」


はぁ、とため息を吐いて私を見る鍾会さん。


「…気づいてない方がおかしいのだがな。」


…はい?


「そうだな…手を見てみろ。」

「?」


…傷だらけだ。


「手だけではないぞ。…だから、今日は寝ていろ。明日にはこの私が起こしてやる。」

「え、でもここ鍾会さんの部屋なんじゃ、」

「傷付いた女を床で寝かせるほど落ちぶれてはいない。」

「…じゃあ、お言葉に甘えて。」


言ってもどうせ聞いてはくれまい。

そう思って布団に寝そべり、ゆっくりと瞼を閉じた。







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