英才の拾い物

□英才の拾い物
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「うー…。」


ゆらゆらと揺れて、少し心地いい。

覚醒を拒否するように微睡んだ目を開いては閉じる。

不意に揺れが止まり、ふわりと、なんだこれ、布団かな?の上に降ろされる。

目を閉じていても眠気が去ってしまった。

致し方なく目をゆっくりと開くとなんか綺麗な人が私を見下ろしながら髪を弄っている。

目が合って、綺麗な人が口を開く。


「…起きたか。」

「あ、はい。」


寝転んだままだと失礼か、なんて思ってむくりと起き上がる。

綺麗な人は髪を弄っていた手を離し腰にあてた。


「さて、まずは質問に答えろ。言葉はわかるな?」

「はい。」


な、なんだこれ、尋問か?


「名前は?」

「三毛です。」

「…何故あそこにいた?あそこで何をしていた?」


…ん?あそこってどこ?


「…どうした?言えない理由でもあるのか?」

「いや…あそこって、どこです?」

「…は?」


やばい!!きょとんってなってる!!

今のはいけなかったか!!でも本当にあそこってどこ!!!?


「…本気で言ってるのか。」

「はい、あの…。」

「ん?」

「実をいいますと…。」

「…。」

「名前以外わからないんですよ。」


………なんです、その苦虫を噛み潰したような顔。

かと思ったらなんかぶつぶつ言ってるし…。

いや、「厄介な拾い物」って、聞こえてますよちょっと。

…よく考えてみたらこの人は誰だ。

…聞いていいのかな、いいか。聞いちゃえ。


「あのー…。」

「なんだ?」

「つかぬことお聞きしますが、貴方誰ですか?」


…本日二回目の苦虫を噛み潰したような顔がこちらになります。

「この私を知らないだと!?」って、有名人なんですか貴方。

知らなくてすみませんね、なんせ記憶がありませんから。


「…まぁいい。そちらに記憶がないのなら私を知らなくて当然…質問もこれ以上しても意味はないだろう。よし。今度はこの私がお前の質問に答えよう。」


前置き長ぁっ。


「じゃあとりあえず…名前を聞いても?」

「…鍾士季だが…鍾会様と呼べ。」

「鍾会さんですね。」

「なっ!!」


「貴様それが目上の者に対する態度k(ry」あーはいはいわかりましたわかりました。

この人顔はいいのになんか残念だな…。





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