Be quiet!!!!
□風邪っぴきました。
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「はぁい、アウトー。」
「あ、あうと?」
体温計を見つめて小さく溜息。ううむ、申し訳のないことをしてしまった。
「ちょっと働かせすぎたかぁ。風邪だね。多分。」
「多分て・・・てか、言うほどだるくないしだいじょ、」
「ばない。菌が飛ぶので今日は安静で頼むよ。」
ぽんぽんとおなかの辺りを叩く。
しぶしぶといった様子ではぁい、なんて言ったのは佐助。顔色が優れないのを見逃す私ではない。
料理のこともまかせっきり、それに佐助は忍だし、その上幸村にしっかりしてもらおうとしてる時だ。
ストレスもあっただろう。へらっとしてるけど、一番警戒されてる・・・気がしないでもない。
まぁ、かかってしまったものは仕方ない。とりあえず今日は休もう。
布団から出るなよ、と声をかけるとやっぱりしぶしぶはぁい、なんて聞こえる。そのあとに続いてちぇっ、なんて聞こえた。
それを聞きながら部屋を出る。いたのは幸村。
「光殿、佐助は、」
「風邪だよ。」
言った言葉にさぁっと顔が青くなる。おいおい。
「大したことないから。佐助はしっかりしてるし、すぐ治ると思うよ。」
「ま、まことでござるか!」
「まことまこと。」
ほっとしたように息を吐く幸村の背中を押して下へと下りる。
さて、ご飯を作ってあげないといけないな。
・・・あ、食欲あるのか聞くの忘れた。いや、一応作っていこう。風邪薬あったかなぁ・・・。
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「え、佐助が風邪?大丈夫なのそれ。」
『今日は学校休むよ。』
「まぁでしょうね。」
かかってきた電話は報告。どうやら佐助が風邪を引いたらしい。
料理をする人がいない、だったら確かに致し方の無い話だ。
それにしても何て言って休むつもりだろうか。
「で、あたしに何をしろと?」
『いや、ただの報告。』
「何それ。」
『・・・誰にも言わないでね、私もちょっと風邪っぽくてさ。』
「死ぬなよ。」
『死なんわ、勝手に殺すんじゃない。』
なるほどねぇ。じゃああれか。
「なんかあったらヘルプ出せばいいわけ?」
『うん、家康さんと政宗さん以外で頼むよ』
「承知。話はしとく。」
『私のことはいいから、佐助の話だけちゃんとしといてくれるとありがたい。』
「了解。」
まったく、あたしの幼馴染みは背負いたがりだな。
「こじゅ、アニキ、勝家、慶次、ちょっと来て。」
「Ah!?honey.俺は!?」
「海、ワシは、」
「二人は待機。」
「「!?」」
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「(・・・また、お通夜みたいな顔を・・・。)」
朝ごはんを食べていると視界に入るのは幸村の表情である。なんて顔するんだ君は。
しかし、まぁ、そうだね。風邪っていったら昔は大変だったのだろう。
けれど今はそんなに重大なものでもないし・・・、いや、説明したところで仕方ないか。
そういえば風邪薬が無かったなぁ。どうしよう、買ってこようか・・・いや、処方してもらうか・・・。
保険証ないからな、普通に病院にいくのはきつい。カルテが残るのもきつい。
・・・嫌だけど頼るか。
「ふー、ごちそうさまでした。」
「光、今日はがっこうとやらに行くのではなかったのか?随分と悠長よな。」
「今日は休むことにしたんです。佐助が風邪なので。ところで皆さんは大丈夫ですか?具合悪かったら言ってくださいね。」
全員が一応頷いたのを確認して食器を片付けに立ち上がる。
さて、電話をして、来るまでの間に卵粥でも作って、それから、
「光殿、某、何か手伝えることは、」
「え?」
急に言われた言葉に、ああ、心配なんだっけ、と思い返す。
うーん、しかしむやみに病原菌に近づけるわけには、と思ったところで必死な様子の幸村の顔が視界に入る。・・・ああ。
「・・・ええと、そんな顔しないでいただけると・・・。」
犬か。あれ、人間に戻ったはずなのに垂れ下がる尻尾が見えるなおかしいな。
まぁでも、心配ならそばに居させてあげたほうがいいのだろう。無理に侵入されても困るし。
とりあえず。と、マスクを取り出す。
「これを、こう、つける。」
「こ、こう、でござるか。」
「そう。で、耳にこの紐をかける。」
「お、おお、」
「あと部屋から出たら手洗いうがいね。食事の前も。」
「!では、」
「佐助の様子、幸村が見てて。・・・佐助もそのほうが落ち着くだろうし。・・・?いや、どうなんだ、主に看てもらうって・・・。」
それから、と洗面器を渡す。ティッシュもしく。そこにポカリの入ったペットボトルも入れる。
「これ、水分ね。洗面器、えっと、この桶は吐くとかって時に使って。」
「しょ、承知した。」
「それ持っていったらまた戻ってきて。ここに手拭いとまた今度は水の入った桶置いておくから。」
「では、行って参る!」
「うん。」
たたた、と小走りに二階へと上がっていく幸村を見送る。
さて、私もマスクして・・・ああ、電話しなければ。
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