Be quiet!!!!

□灰色にゃんこと茶色わんこ
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「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・いや、電話でなくていいのか?」


無だ。今の私は無だ。


「意味が分からないぞ。」


さきほどから携帯が鳴っている。そんなことならむしろうちに来て欲しい。むしろ来い。

そんな中途半端に拒否が出来るようなことをしないでほしい。

相手は言わずもがな海ですけど。

というかさっきから官兵衛さんがツッコミしてる。もう官兵衛さんツッコミキャラになってる。ごめんなさい。


「・・・出たくないんです・・・。」

「なんでだ?」

「・・・いえやす・・・。」


海が来るなら政宗さんも小十郎さんも来る。と、いうことは?

家康も来ますね?芋蔓式ですね?


「徳川が嫌なのか。」

「嫌というか。」

「塩撒くとか言うておったくせになにゆえ嫌ではないとほざけるか。」

「ひいいいごめんなさい、えっと、ちが、ちがうんですよ。苦手なんです。苦手。」


ああもういいや!!!!

出る!出るよ!そう思って携帯を取ろうとすると三成がそれを奪い。

ぱかりと開けてガン見。

・・・え?

きょとりとする私を無視して吉継さんが携帯を覗き込んで指差す。


「三成、これよ。これを押す。押したらこうして耳に当てる。」

「わかった。」

「え、え、」

「好きなこと言えばよかろ。」

「わかった。」

「ええええええええよくないいいいいいいいいい」


私のツッコミをよそに三成は通話ボタンを押す。おいいいいいいいいい。


「誰だ。」

「いやいやいや、」

「海?ああ、話は聞いた。」

「え、ちょ、」

「取り込み中だ、あとにしろ。」

「ちょ、三成?三成くーん?」

「心配するな光。」

「心配するよ何言ってるの」

「とにかく私と光は忙しい」

「おいいいい誤解招くような言い方はやめろ!!」

「そして・・・家康をかくまっているような奴と話すことはないっっっ!!!!!」

「待てええええええええええええええ!!!!!!!」


通話を切った三成が真顔で私に携帯を手渡す。

なんかもう唖然とする。どうしよう、海怒ったかな。いやいや、そんな心の狭い子では。


「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・また鳴り始めたな。」


怖いっ・・・!!出るの怖い!!


「官兵衛さん出てよ!」

「はぁっ!?なんで小生が、」

「やれ光、われが」

「吉継さんはあることないこと吹き込むから駄目ですっ!!官兵衛さん早く!!」

「え、ああ、」


携帯を官兵衛さんにパス。

通話ボタンを押して耳に携帯を当てる。


「あー、小生だ。」

「ちょ、なんですかそれは。」

「あ?徳川か。なんでお前さんが・・・凶王?・・・いや、鬼の形相だぞ、止めといたほうがいい。」

「うわ三成怖い」

「イエヤスゥ・・・貴様よくここでそんなものしてこれたな・・・。」

「・・・というかもう、来たらどうだ?」

「おいいいいいい何を言ってくれちゃってるんでぃすかぁっ!!!!??」


思わず噛んだじゃないか!!!


「いや、そのほうが話も早いし既に通話は切れてる」

「来るじゃないですかあああああああいやあああああああああ会いたくないのに!!」

「ふむ・・・部屋の被害を最小限に抑える役目はぬしに任せよう暗よ。」

「え、そうくる?」


そんなことを言い合っている間になんか三成怖いことになってるし二階から物音聞こえるしなんてこった!!

逃げたい、逃げてしまいたいぞ私は!!

しかしそんなことも言ってはいられない。


「ええっと、そうだよね、部屋の被害・・・あ。」


--


「くっ・・・何故私がこれをつけなければいけない!」

「しかたなかろ、光(の家)のためよ。」

「ごめんね三成・・・。」

「これはこれでいい気味だな。」

「官兵衛・・・貴様・・・殺す・・・!!!!!」


都合よく手枷を取り出した吉継さんのおかげで私のおうちは大丈夫そうです。

あとは・・・私の精神・・・。

まぁなんとかしよう・・・そこは・・・。

腹もくくったところで二階からお隣さんたちが降りてきた。


「会議しようと思ったのに何で三成が出たのかな光ちゃん?」

「ごめんなさい。」

「イィィィィエェェェヤァァスゥゥゥゥゥゥウウウウ!!!!」

「おい落ち着け凶王!!」


離せ官兵衛!!などと叫んでいる三成にそれを押さえる官兵衛さん。

さりげなく吉継さんの後ろに隠れる私。

三成の前で屈託無く笑う家康さん。

溜息を吐く双竜。笑いながら少し怒ってる幼馴染様。


「・・・ええと、会議します?」

「そうだねしようか。まぁ電話に出なかったのは君の家康嫌いのせいにしておこう。」

「ちっがうよ苦手なんだよ!!嫌いと苦手は違う!!よ!!!!!」


そういうわけで会議に入りましょうか・・・。


--


「えっとじゃあ?」

「三成もワシも寝てこちらに、だな。」

「他もそうだったのだろう。」

「新しい情報は無しだね。」


このままじゃ増える一方だね。

そういうと光の苦虫を噛み潰したような顔が目に入る。


「結局日用品買いに行かないといけないフラグが・・・!!」

「あー、あたしもだわ。」


はーっ、と二人で溜息を吐く。

そうなんだよねぇ。二人ならまだしも。

三人となるときついのよ。食器とかね。

服もお父さんのでなんとかするには問題があるし。

ううむ。これ以上増えるのか・・・ちくしょう・・・今週が長く感じられる・・・まだ月曜?嘘でしょ?

まぁそれはおいておいて。


「会議終わろうか・・・。」

「あー明日も学校だよ・・・お昼作っておかないと・・・。」

「うちこじゅで足りてるよ。」

「うらやましい・・・佐助降ってこないかな・・・。」

「「「!!!?」」」


光の台詞に反応した三人。

まぁ確かにね。佐助居たら楽だろうね。


「な、光、まさか、貴様そんなのが好み、」

「は?」

「光・・・われをだいすきと言っておきながら・・・。」

「いやいや」

「そうか・・・そうだったのか・・・!!」

「ちょ、話を聞いてくださいます?おーい三人ともー。」


・・・大丈夫かあの空間。


--


「ふー、カオスだったわ。」


はーっと溜息をまた吐いてソファにぼふり。

まったく向こうはなんてギャグなんだ。


「えっとじゃあお風呂、湯浴み?って言うんだっけ?すませてくれる?」

「honeyは先に入らなくていいのか?」

「いいよ。三人とも先に入っちゃって。家康は説明受けたんだよね?」

「ああ。大丈夫だぞ。」

「じゃあ三人で順番決めて入って。」


話し合いを始めた三人を尻目にテレビをつける。

・・・ああ、そうだ。帰ってきた時点でこれ中断状態だったわ。


--


「小十郎?開いたぜー。」

「は。」

「じゃあこじゅいってきなよ。」

「ああ、そうする。先にすまねぇな。」

「問題ないよ。」


順番は政宗、こじゅ、家康になったようで。


「honey、昨日のアレやってくれよ。」

「ドライヤー?好きだねぇ。」

「今朝調子が良かったからな。」


政宗はドライヤーが気に入ったらしい。にこにこしながらあたしの前に座る。

まぁするとしないとじゃ違うもんね。

そんなわけで家康としてたBASARAのコントローラーを政宗に渡してドライヤーを持ってくる。


「音うるさかったらテレビの音量上げてね。」

「ああ、わかったぞ!」


元気に返事をした家康を確認して電源を入れると家康の肩がびくりと跳ねた。


--


ドライヤーの音にびっくりしたのか目を見開いてそれを凝視する家康に笑ってやると家康は照れたように笑う。

視線がテレビに戻ったのを確認して中断を解く。

honeyの手が頭で動く。それが心地いい。

確かに髪の調子がいいのもあったが、俺はこれが気に入って。

どこか暖かな気持ちになって。


「(毎日頼んでもいいくれぇだ。)」


口元が自然に緩む。

まだ来てから一日・・・いや、もう二日か?

それくらいしか経っていないというのに、随分と惹かれたもんだ。

それに、これが噂の平和ボケか?

気が緩んで仕方がねぇ。


「こりゃ参ったな。」

「ん?何が?」


ぽそりと呟けばhoneyに聞かれていたようで。


「Ah・・・honeyが好きになりそうだって話だ。」

「・・・はい?」


そっと顔を窺ってみると少しだけ頬が赤い。

こういうところがまた、反則だよなぁ。


「独眼竜、よそ見してると体力が赤だぞ!」

「何ぃっ!?」


やべぇ気抜きすぎた!!!









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