Be quiet!!!!
□くろにゃんことちゃわんこ
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光の言い分は分かった。
ようするに必需品を買うのが面倒なんですねわかりました。
にしても・・・おい・・・よりにもよって独眼竜と右目ですかそうですか・・・。
しかもあたしに色々丸投げだし、ひどくない?
え?説明しないといけないの?前は聞いてるだけでよかったけど今度はあたしがする番なの?やだよちょっと。
・・・いや、もうしかたないよね腹くくろうかな。
「えっとじゃあ・・・まさ・・・伊達さんとこじゅ、じゃない片倉さん、現在の状況について話させてもらうね。」
「Thank you.助かるぜhoney.」
「すいませんそのハニーってなんですかなんなんですか。」
「同じ布団で寝た仲だろ?」
「すいません違うと思います色々と。」
ああ駄目だこの人たち突っ込みつかれる。光より疲れる。
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「えっと、じゃあそんな感じで。政宗とこじゅって呼んでいいよね。」
「かまわねぇぜ。」
「政宗様がそう仰るなら。」
なんか幸先不安なんだけどあたしこの人たちとやっていけるかな、ちくしょう。
とりあえず部屋とか現状とかの説明は終わったし。
・・・ええと。
「とりあえず・・・向こうもしてたし・・・帰れる条件とか探してみる?」
「そうだな。向こうの連中が心配だ。」
「にしてもまだにわかに信じがたい・・・。」
「そうは言っても既に起きちまってることだしな。」
寝てからこちらにきたのは向こうも言ってたな。こっちもそんな感じらしい。
あとなんかヒント・・・ううむ・・・そんなものあるのか。
えっと、四人とも光の家の庭に降り立ったわけでしょ?
庭になんかあったっけ?梅の木?小さな池もあるし・・・。
うわ、どれだろう。あの子ん家の庭けっこうすごいぞ。
「honey?何難しい顔してんだ。」
「うわ近っ」
ひらひらと手を振って政宗が顔を近づけてきた。咄嗟に飛びのく。勘弁してくれ美形。
うわ、心臓ばくばくいってる。どうしてくれる!!
「つーか腹減ったぜ。卵粥だけじゃ流石に足りねぇな。」
「いやいやいやいや。」
というかなんて平気な顔を、この人外国人かよ至近距離平気かよ。
「そういえばお前も食ってねぇだろう。朝餉は大事だぞ。」
「え、ちょ、こじゅ、なんできっち、台所に向かうの。」
「政宗様が腹をすかせている。作るしかな」
「待ったあああああああ!!!!作る!!!あたしが作るから!!!!!」
家電の説明なんてご飯食べてからにしてください!!!あたしも説明のし過ぎで疲れてきた!!!!
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「ごちそうさまでした・・・。」
「「ごちそうさまでした。」」
結局説明してたし・・・もう疲れました・・・。
このあと何を説明しないといけないんだっけ?
ゲーム・・・あー・・・テレビに・・・風呂もだ・・・。
ええ・・・あたし説明疲れるからもうしたくない・・・光呼びたい・・・助けて・・・。
「おいhoney?さっきからぴんぽんぴんぽん何か鳴ってるぜ?」
「え、うそ」
玄関に急行。居たのは案の定。
「そろそろ困る頃かと思って。」
「いやちょっと待て小生たちは情報交換を」
「静かにしやれ暗よ。」
「ぐぅっ、」
「うわ、不幸の塊だ・・・。」
なんだかこの三人いつの間にかクロカンを苛めるための部隊になってないか。怖いぞ。
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「にしてもちゃんと車椅子に乗っけたんだね。」
「うん。じいちゃんのだけど。大助かりしてる。」
「確かに大谷さん居なかったらただの粗大ゴミだもんね。」
「捨てないからね、ちょっと。」
そういえば大谷さんの頭にちょうちょが復活してる。
いや、復活っていうか、なんていうんだろ、ほっかむり?違うな、頭巾か。をかぶってる。
すごい簡単なものだけど。あの程度なら光が作ったんだろうな。
にしてもちょっと待てよあのちょうちょどうなってるんだ。中に針金でもいれてるのか。
「なんでちょうちょ復活してるの?」
あっつい聞いてしまった。
「私が復活させたの。」
「光が落ち着かぬようゆえな。」
なんかもうこの二人打ち解けてるな。なんなの。
「stop.雑談はそこまでだぜ。情報交換ならとっとと始めろ。」
「あー、じゃあこちらからもstop.ねえ海さん?なんであれだけ時間があったのに服を着替えさせないんです?馬鹿ですか?」
「誰が馬鹿だちくしょう。お前に言われたかないわ。」
「まあねーそうだよねー。私だって着替えさせたの5時過ぎぐらいだったしねー。」
だったら言わないで欲しいのはあたしだけですか?
まあでも確かに着替えさせないといけないしなぁ。
「私たちが居る間にしておきなよ。」
「なんで?」
「官兵衛さんなら着方も教えられるしね。」
「ん?ああ、そうだな。」
あ。なるほど。
あたしがそういうの恥ずかしくて出来ないから来てくれたのね。
そしてそうやって言ってくれたわけね。なるほどなるほど。
あんたがお隣でよかったって思いました。まる。
「えー、じゃあお父さんの引っ張り出してこようか。」
「いってら」
「うん・・・。」
とにかく父の部屋へ。
服のサイズとか不安すぎて。
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「そういうわけで話を進めます。」
「honeyがいない状態で始めていいのか?」
「疲れてるんですよ。察してあげてね。」
あの子ああ見えて体力ないしボキャブラリーも少ないからね。
あ、話すときの話ね。持ってるには持ってるけど引き出しから出すのが面倒臭いパターンのあれだからね。
「さて。お二人も寝て、来たんですよね」
「ああ。」
「獣になって見たのは梅であろ?」
「Ah・・・そうだった気もするな。」
「ついでになんか違和感とかあるか?」
「いいや?特には。」
「「「なるほど・・・。」」」
やっぱりキーワードは梅か。吉継さんの言ったとおりかもしれない。
しかしなぁ。帰り方・・・ううん。
「結局何も解決しませんね。」
「梅が鍵であれば梅の下で寝るのも一つの策か?」
「えー地べたでですかー?」
「暗よ、ぬしが試すが良い」
「お前さんらは本当に小生を苛めるのが好きだな。」
いや、そんなつもりはサラサラないのですけれど。
ついつい贔屓を・・・おっと。
「で?何か分かったのか?」
「梅と寝ることくらいしか。」
「ほー、あの梅か。」
「うーん難しいですねー。」
政宗さんに問われて結局そんなことしかわかっていないことに少しだけ焦る。
はやく帰らせてあげたいのだけれどなぁ。
そんなことを考えながらうんうんと唸っているとやってくる海。
「これなら入ると思うんだけど。」
そう言って政宗さんと小十郎さんに手渡す。
「じゃあ官兵衛さん、手伝ってあげてください。」
「ああ、わかった。」
立ち上がった二人に続いて官兵衛さんも立ち上がる。
三人を部屋に案内するために歩き出した海に三人でついていく。
よその家で吉継さんとふたりきり。取り残されました。
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寝ることと、梅と。
たしかに暗の言うことが一番手っ取り早いが、果たして来たときに見たものが帰るときに必要なのか。
もしかしたらまったく違うものが必要になるやも知れぬ。
たとえば小さな池だとか。松の木だとか。
光の家の庭はなかなかゆえ。鍵と見えるものも多々ある。
長居をしそうよ。三成を待たせているというのに。
「吉継さん。」
「ん?」
不意に声をかけられてそちらを向くと光が笑う。
「吉継さんは向こうに、不幸を降らせないといけないんですよね」
「そうよ。」
「そのためには帰らないといけない。」
「その通りよ。」
「じゃあ、まずは眉間のしわをどうにかしましょう。」
「・・・は?」
にこりと笑ってわれの眉間にそっと人差し指を這わす。
つつ、と下に降ろされる。
「・・・。」
「力を入れてもいい案は出ませんよ。リラックス・・・ええと、もっとくつろいで。」
「くつろぐ?」
「はい。頭を柔らかくするんですよ。」
必ず帰れますから。私が帰しますから。
そういってまたふわりと微笑むと眉間から指を離す。
その笑顔に、こちらもつられて笑ってしまった。
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