Be quiet!!!!
□くろにゃんことちゃわんこ
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「刑部、刑部!!!」
・・・三成、か。やれ、厠なら一人で行け、時期に日が昇る。
「なっ、私はそんな歳ではない!!いいから起きろ!!いつまで寝てる!!!!」
寝てる・・・?われはこれでも、寝たばかり・・・。
「何を言っている!!昨日から寝たまま起きていないではないか!!!!」
・・・?寝た、まま?
「・・・?おい、刑部!!!」
光・・・ぬしは、夢か、
「光?そいつのせいで起きれないのか!!待っていろ、必ずそいつを見つけ出してたたっ切る!!だから起きろ刑部!!!!!」
やれ三成、何を、勝手な、誤解、を、・・・。
「っ!?刑部!!!刑部!!!!!!」
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「・・・夢で見る夢は現・・・か・・・。」
起き上がる。襟首に、掴まれた跡。
「・・・ふむ・・・。」
あそこで起きておれば帰れたのか?いや、しかし。
ふと部屋の隅の時計とやらを見る。短い針は、伍を指していた。
「・・・。」
下から何やら音が聞こえる。少しだけ、騒がしい。
「・・・まずは会議よ。」
暗も寝ている間になにやらあったやもしれぬ。
われと同様、夢に現が繋がったやもしれぬ。
少しの期待を胸に、そっと座布団に乗る。
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「あっおはようございます吉継さん。」
「光。おはよう。」
相も変わらず座布団に乗って登場した吉継さん。
とりあえずリビングに視線を移す。
「して、何があった。このさわ、ぎ・・・。」
「今朝梅の木の下で見つけたんです。くろにゃんこさんとちゃわんこさん。」
「おい光!まだかー!!?」
「ちょっと待ってくださーいっ!!」
そこにあった光景にきょとり。
絶句した吉継さん。
視線の先にはくろにゃんことちゃわんこと戯れ・・・いや、これはもう襲われているに近い官兵衛さん。
とりあえず朝ごはんを用意しようと思ってキッチンに入ったのはいいものの、あっという間に官兵衛さんは遊ばれ始めて。
まぁあとちょっとですからね。待っていて欲しい。あとうるさい。今午前の5時だから。近所迷惑だから。
「やれ光。」
「はい?」
「夢に三成が出てきたわ。」
「!!・・・その話、あとで詳しく話しましょう。」
「ふむ。・・・さて、手伝おう。朝餉であろ?」
「あ、はい。でも、」
「よいよい、気にするな。」
「あ、じゃあお言葉に甘えまして・・・。」
これを持って行ってください、とお盆の上に卵粥をふたつ。
あのにゃんことわんこは多分普通の猫でも犬でもない。
ゆえに対応はお二人と同じ。
それを受け取った吉継さんは相分かったと返事をしてふよふよとリビングへ。
・・・しかし。
右目の開かないくろにゃんこに頬に傷のあるちゃわんこねぇ・・・。
フラグ・・・びんびんじゃないですか・・・。
さてどうしようかなぁ。ううむ。
あ、吉継さんまで襲い掛かられてる。
まぁいいや。ご飯食べてからにしよう。悩むのは。
まずは三人分のご飯を持ってリビングへ向かった。
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「「「ごちそうさまでした。」」」
「にゃあ。」
「わん。」
無事にご飯を食べ終わり。
さてさて後片付けでもしつつ会議しますか。
茶碗やら何やらを持ってキッチンに向かう。
「さて、このまま話してもいいですか?」
「お前さんが構わんのならな。」
くあ、と欠伸をひとつして返事をしてくれたのは官兵衛さん。
それに頷いて話を始める。
「とりあえずくろにゃんこさんは政宗さん(仮)、ちゃわんこさんは小十郎さん(仮)としましょう。」
「(仮)は必要ないであろ。どうせこれらもその通りよ。」
「いえいえ、そうはいきませんよ。」
面倒臭そうに眉間にしわを寄せた吉継さんは政宗さん(仮)と小十郎さん(仮)を官兵衛さんに任せてこちらに来た。
手伝ってくれるのかな?なんて思ったけど見ているだけだった。
「えっとですね、お二人ならまだ許容できるんですが、それに二人追加となると辛いのですよ。ほら、茶碗とか諸々的な意味で。」
「だが、それじゃあどうするんだ?こんな奴ら里親探しになんて出せないぞ。」
「ぬしのことよ。海に頼むのであろ。」
「わあ、吉継さん的確ですねぇ。」
「昨日のぬしらの話を聞けば誰でもわかること。そう、誰でも・・・ヒヒッ」
「おい、さり気無く小生を馬鹿にしてないか。」
「あーもー喧嘩しない。吉継さん、喧嘩をふっかけないでください。官兵衛さんもやっすい挑発に乗らない!」
まだ二日目だというのになんという平和ボケ加減だろうか。
皿を洗う手を止めずに止まった話を進める。
「そうですねぇ。私の部屋の窓から二匹を入れ込みましょう。政宗さん(仮)、ベッド・・・寝台の上に寝転がってる人をとにかくばしばし叩いてください。」
「海も不幸よな・・・ヒヒヒッ」
「姿が元に戻ったら隣で優しく添い寝でもしてあげてください。」
「もう戻る前提で話してるじゃないか。」
「起きたら挨拶は必須ですよ。説明等も海から受けてくださいね。」
丸投げだけどなんとかなるだろう。
彼女はきっと私より順応が早かろうしね。
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「good morning honey.よく眠れたか?」
「あ、おはようござ・・・え?」
「政宗様、言われたからといって女子の布団に入るのはどうかと・・・。」
「何言ってんだ小十郎。入っちゃいねえ。ちゃんと上に乗ってんだろ?」
・・・なんじゃこりゃあ。
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「ねえ何これどういうこと。」
「しょうゆうこと」
「そんなボケは望んでいない。」
とりあえず理解できていないままに窓をくぐると案の定いる幼馴染。
こいっつ本当に・・・!!!悪気があるのやらないのやら!!!!
「というか着替える暇も無いほど忙しかったわけ?昨日。」
「え?あ。」
そうだそういえば昨日漫画読んでて寝落ちたんだ。
・・・風呂も入ってない。
「・・・察した。お風呂入ってく?」
「・・・入ってく。」
なんでこんなところだけ鋭いんですか。
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「海にお風呂貸してる間に話を進めましょう。」
独眼竜を放っておいてわれらはひそひそと話を始める。
「じゃあまずは吉継さんお願いします。」
「三成が出たのよ。襟首掴まれて起きろと揺すられたわ。」
「うわっ首もげそうですね三成に揺すられるなんて。」
「もげるかと思うたわ。・・・やれ、冗談よ。」
顔面蒼白になる二人には冗談は通じぬようよ。悲しい、カナシイ。
「興味深いことを言っておった。昨日から寝たきりであると。」
「三成が言ってたんですか?」
「うむ。」
「それ、小生のとこでも言われたぞ。」
「じゃあやっぱり。」
「これは夢か。」
なればぬしも夢よなァ。ヒヒヒッと笑うわれに悩む光。
それに何やら惹かれるのもそう、夢の微睡みゆえよ。
ずいぶんと阿呆らしい話よな。
「・・・そこで、起きようとは思わなかったんですか?お二人。」
「・・・。」
「どうなるかも分からぬ危険は冒せぬゆえな。」
「ふむ・・・。」
何か鍵が要る。重要な・・・。そう呟いて、また黙る。
暗もまた、ない頭で考えているようよ。
そういえば、われが来て初めに見たのはあの梅・・・。
独眼竜が来たときも、梅の木の下がなんとか・・・言ってはおらなんだか・・・?
ちらりと庭に目をやると、緩やかな風に吹かれて梅の花びらが舞っていた。
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「ごめん本当に・・・わざわざ沸かしていただいて・・・。」
「気にしやるな。」
「大谷さんのその馴染み加減うざいわー。」
ヒヒッ、と笑いながら言われた言葉にここはお前の家ではないといいたくなる。怖いから言わない。
ずいぶんと馴染んでるよなー、なんて思っていると光に座るように促される。
「ほんじゃ、会議を始めます。」
「何それ。」
「とりあえず私の言い分聞いてね。」
「一方的過ぎるし話も急すぎるし、」
「運が悪かったな。小生よりも。」
「なんかやだそれ、」
「諦めるが吉よ。」
「もっとやなんだけど。」
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