Be quiet!!!!
□お世話はじめました。
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「えっと、一人で出来ますか。」
「・・・。」
「・・・。」
「あ、手伝いますね。」
二人して綺麗に無言で返さないでください。こわい。
とりあえずまずは吉継さんをひとつの部屋へ誘導。
「えっと、立てますか?」
「うむ。」
あ、立てるんだ。
そっと座布団から降りた吉継さん。
ええと、まずは脱いでもらわないと。
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「はい、結べました。」
「すまぬな。」
「いえ、見せたくないものの一つや二つ、人にはあるものですよ。」
帯をしっかり結ぶと吉継さんは少し申し訳なさそうに笑う。
包帯を云々、と言ったけれど取らせてはくれなかったのでどうせ隠れるし、ということで今は無理やりはしないことにした。
にしても。
「うーん、ちょうちょが無いと違和感が・・・。」
「光のわれへの印象はそこか。」
兜も取ってもらったので少し色素の薄い髪が頭で揺れていた。
それでなんだか、違和感MAX。
「でも、なんだか知らない吉継さん見れたみたいで嬉しいです。」
えへへ、なんて笑うと吉継さんはきょとりとする。
直後、苦笑いをしながら「ぬしも物好きよな」なんて言われた。
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「そうです、で、そう、そこに反対側を通して。」
「こうか?」
「そうです。あと金具をこう。」
さすがにベルトの金具は難しいかぁ、なんて思ってそこはやってあげる。
「はい、官兵衛さんも終わり。」
「すまんな。何から何まで。」
「いえ。全然。憶測で着たのがほぼ完璧でしたから。」
「そうか?」
ほんとにほぼ完璧だったから私が驚いたくらいだし。
え、知ってたの?みたいな完成度で。
うんうん、なんて頷く私の目の前で照れたように頬掻く官兵衛さん。
あ、そうだ。
「髪もなんとかしましょう。それじゃ前も見にくいでしょうし。」
「あ、ああ。頼む。」
とりあえずどうしようか、うーん。
ヘアピンと、うん。そうだ。ヘアピンで留めよう。
官兵衛さんに一声かけて自室まで戻る。ええと、ヘアピンヘアピン。
おおあった、ちょうど黒いのが。
ひょいっとひっつかんでまた部屋に戻る。
「うーん、上に上げますか。」
言うなればオールバックである。
「はい、出来た。どうですか官兵衛さん、どこか絡まって痛いとかないですか。」
「ん?ああ、ないぞ。」
「それはよかっ・・・・・・・・・。」
「?どうした。」
誰だこれ。
誰だこのイケメンは。
「光?」
「はっ!!」
ふるふると目の前で手を振られて現実に引き戻される。
おいおい!!誰ですかこのイケメンは!!官兵衛さんですねごめんなさい!!
とっ、とりあえず気を取り直しまして。
「着替えも済みましたしご飯にしましょうか。」
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「はいっ、簡易的で申し訳ないんですけど。」
「白米・・・。」
「白米・・・。」
「え?」
白米凝視されてるよ。
まぁいいか。
今日の献立は鶏があったのでから揚げです。
野菜も食べましょうね。
相変らず白米凝視の二人を見つつエプロンをはずし私も座る。
そしてそっと、手を合わせる。
「さて、ではいただきます。」
「「いただきます。」」
私に続いて二人も言う。
「して光。これは・・・。」
「随分と豪華だな。」
「?そうですか?白米は私、実家が農家ですからねぇ。」
いや、この豪華はそんな意味じゃないと思うけど。
「これは鶏、か?」
「はい。衣をつけて油で揚げたものですね。あ、ちゃんとキャベツ・・・ええと、なんて言ったっけ。甘藍(かんらん)も食べてくださいね。」
「味噌汁か・・・普通の飯も久々な気がするぞ・・・。」
「官兵衛さん・・・同情を誘うような台詞はよしてくださいよ・・・。」
どんな飯だったんですかじゃあ・・・ちょっと・・・。
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「ごちそうさまでした。」
「「ごちそうさまでした。」」
なんかこの言った後についてくる感じかわいい・・・。
さてさて。
「じゃあ次はお風呂・・・。湯浴みの説明しましょうか。」
あれ、沸いてたっけ。
・・・沸かしたな、さっき台所いたときに沸かしたわ。
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