MobileVitamin!!

□その17
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無理して笑顔でいるみたいで、なんだかAIが変な感じがする。

心配というか、苦しいというか、なんだか最近の笑顔を見てると逆につらくて。


「(俺のために、無理、してんのかな。)」


じわじわとAIの中に何かが広がる。

無理して欲しくない。俺のせいで無理するくらいなら、俺は。


「(笑って欲しくない)」


自然体でいて欲しい。溜息吐いた後の笑顔の、なんて、苦しげなことか。

俺は負担になりたくない。自然体を見せられるような奴でいたい。

杏には、笑っていて欲しい。笑っていて、欲しいけど、そんな、無理してまでは、笑って欲しくない。

仕事が最近忙しいのは、俺だって一緒に行ってるし、仕事の電話繋いだりしてるし、わかる。

だからこそ。


「(俺には弱みを見せて欲しいのに。)」


彼女は笑う。大丈夫だよ、といつも言う。

大丈夫じゃないのに。

俺ってそんなにたよりないかな、俺って、そんなに。


「一くん?」

「っ!!」


杏が俺の名前を呼ぶ。ちょっと驚いて振り返ると、そっと笑う杏。


「なんか元気ないね?」

「・・・」


やっぱり無理してるように見える。

いつも笑顔でいるのは嬉しいけど、なんだか不自然で。


「・・・無理してないか?」

「してないよ?」

「・・・。」


心配させまいとしているのか、笑う彼女が余計心配で。

無理をしてないわけが無い。最近少し、やせた気がする。

ほぼ衝動的に抱きしめると彼女の動きが止まる。


「・・・え、」

「無理してるよな?」

「え、いや、一く、ちょっと、」


逃れようともがく彼女をぎゅうっと押さえつける。


「・・・笑わなくていい。」

「え?」

「無理して笑わなくていい。」

「いや、え?」

「心配なんだ、いつも笑ってるから。」


俺が無理させてるんじゃないかって。俺が負担になってるんじゃないかって。

怖いよ。このままじゃアンタ、消えそうだよ。

俺はそんなの嫌だ。

嫌なんだ。

まるで子供が駄々こねるみたいに言うと、強張っていた彼女の体から力が抜ける。


「・・・一、くん。」

「・・・ん。」


ありがとうね。

ぽそっと呟かれた言葉に少し驚く。


「そこまで考えてくれててありがとう。」


そっと俺の背中に手がまわった。

そのまま手が背をさするように上下する。

彼女の顔の当たる胸の辺りが濡れてるように感じた。

それにAIが、暖かくなるように感じた。




MbileVitamin!!




好きだから自分の前じゃ無理して欲しくない草薙。




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