MobileVitamin!!
□その14
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同僚が羨ましくてミニマムアンドロイド型人工知能付き携帯を購入した・・・想像以上のお値段だった・・・絶望している・・・。
問題の彼の名前はmodelvitamin-X002草薙一と言うらしい・・・。
にこやかに自己紹介してくれた・・・。それはまぁ、いいんだけど。
「ごめん、名前なんだっけ?」
「何で毎日会話してるのにスリープして起きてくると忘れてるのかな一くん!!!!!!」
謎のメモリバクである。というか毎日こんなんである。おかしい。助けてくれだれか。
正直それに気付いてショップに持って言ったら「何の異常もありませんね」とか意味の解らないことを言われたわけですけど。
バグじゃない。エラーじゃない。メモリには傷とかは一切ナシ。
いったいなんなんだろう、なんて思いながらとりあえず何度目か解らない自己紹介をする。
「杏です・・・。」
「あー、杏な!!!大丈夫、今度こそ覚えたぜ!!!」
これ何回目だと思う?私もう数えるの止めたよ。
しかもこれ、私だけなんだよ。もしかして一くんは私のことが嫌いなのかな?え?
なんで「○○から電話だぜ!!」は言えて私の名前は言えないのかな?え?
流石にしょんぼりとする。はぁ、なんて溜息を吐きながら肩を落とすとぽんぽんと撫でられ・・・撫でられ?
「・・・杏?大丈夫か?」
「っ、!!!!?????な、一く、」
「え?あ、言ってなかったか、俺大きくなれんだぜ。」
今まで一度も大きくならなかったのになにそれ!!!初耳!!説明書とか読まないし!!!
て、いうか、うわ、美形が際立つ、というか、うわ、頭撫でてる手がおっきい、うわ。
うわ、なんか恥ずかしい、赤面する。
「杏?おーい、顔真っ赤だぞ?風邪?大丈夫か?」
「えっ、あっ、ち、違うよ大丈夫だよ!!」
けどそれ以上近付かないで欲しいよ!!私の心臓が持たないよ!!!
「そっか?」なんて呟いて離れていく一くん。・・・もとには戻らないのかな?
「えーっと、一くん?」
「ん?どした?」
「元に戻らないの?」
首を傾げて聞いてみるときょとん、とした顔で見返される。
直後、頭の後ろを掻きながらちょっと照れくさそうに一くんが口を開く。
「・・・このままじゃ、だめか?」
「え、」
「その、なんていうか・・・杏が近く感じるから、えっと。」
あっあれ?なんだこれ、なんだこの反応、え?
「名前、ちゃんと覚えられるかと思って!」
はいですよねー!!!!!!!
「・・・うん、わかった、じゃあいいよ。」
「マジか!!!ありがとうな杏!!!」
・・・これ電池食うの早いんだろうなでも・・・。
うちの電気代が心配です・・・。
MobileVitamin!!
「君の気を引きたくて。」「君のころころ変わる表情が可愛くて。」「近くに感じるのが嬉しくて。」なんて言えない草薙ェ。
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