MobileVitamin!!

□その13
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自分で洗えるのに、彼女は何を意地張っているのだろうか。

やはり、機械だから?もしくは、そう扱わないと機械だと思えないから?

・・・それは、随分と自惚れてはいないか?その線はきっと、無い。

背中に当たっているタオルが、動く。ごしごしと背中を満遍なく洗って、時折、手が触れる。

その感覚だけを探して、ただ座ったまま。彼女も少しくらい、意識してくれてもいいのにと、AIの中で一人ごちる。


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「かゆいところはない?」

「all right.」

「よかった。」


そっと頭にタオルが乗せられる。

遠慮がちに動き始めた手に、少し苦笑いをする。


「ドライヤーで乾かしても平気かな。」

「問題ないぞ。」

「ん。」


手が離れる。タオルも離れる。


「服着たら出てきてね。」

「わかった。」


脱衣所から出て行く彼女。それを見届けて、服に手をかけた。


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プラグに繋がれた付属品がうつらうつらとしている。

そんな様子を見るのは初めてなので、ついきょとりとしてしまう。


「・・・永田?大丈夫?」

「・・・あ、はい。だいじょうぶ、でございますよ。」


人間のような仕草に、人間に対する反応をとってしまう。

いやいや、何をしてるんだ。


「・・・スリープしてもいいよ?」

「そうですか?では、その・・・」

「定位置?いいよ。はい。」

「ありがとうございます。」


ひょいっと持ち上げていつも付属品がスリープをする場所に乗せる。

そっとアイカメラを閉じて、とても小さな機械音がさらに小さくなった。


「・・・朋?」

「ん?」


名前を呼ばれて振り向くと、タオルを肩にかけた携帯が付属品に視線を向けてむっとする。

・・・この不機嫌な表情には、どんな意味があるんだろう?


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戻ってくると、sleep modeの永田。それを定位置に置いたと見える朋。

名前を呼ぶと振り向いて、俺の顔を見て首をかしげた。

不機嫌な表情になったのは自覚している。それに何故だと思ったのだろう。

・・・何故かなんて、俺が聞きたい。朋が永田を構っていると、・・・。

ああ、嫉妬か。

ふと気がついてしまって、朋の手をつかんで抱き寄せる。

まだ乾ききっていない髪の毛からぽたりと、抱き寄せた彼女の肩に水滴が落ちる。

ぎゅうっと包み込むようにするとなんだか満足するような感覚がした。




MobileVitamin!!




自分のものでもないのに嫉妬な真壁。




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