MobileVitamin!!

□その6
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あれからというもの自宅ではプラグつけたままの私の携帯が大きいまますごしている。邪魔だ。

飼っている熱帯魚に餌をやる私の日課はすっかり携帯のものになっている。

私の癒しの時間がとられてうわああああなんて思っていたけど暇があると熱帯魚を見ている携帯に何も言えず。

特に話しかけるでもなくただ何か考えるようにじっと見ている携帯に、私はただ見ているしか出来ない。

熱帯魚を観察する携帯を観察する私。変な感覚である。

そんな私がご飯でもするか、と無言のままに立ち上がるときまって私を見る携帯。

「どこへ行く?」なんで切なげな声に振り向いてご飯作る。と返すとほっとしたような顔。

何を考えてるんだかなぁ。私にはおそらくわからないんだろうな。


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大きくなってからというもの彼女は俺をめったに使わない。

もしかしていらなくなったのだろうかと思うとAIの中になんともいえないものが駆け巡る。

彼女がそっと立ち上がると、置いていかれるような気がして。

咄嗟に「どこへ行く?」なんて声をかけると真顔のままにご飯作る。と呟いてkitchenへ向かう彼女。

一人になるととたんに部屋が広く感じた。今はbigmodeだというのに。

目の前の熱帯魚にも、この水槽は広く感じるのだろうか。

彼女が部屋からいなくなると、この気持ちになったりするのだろうか。


「・・・馬鹿馬鹿しいな。」


魚は考えない。一々そのようなことで頭を悩ませたりはしない。

文学的に考えてみればそんな考えもいいものだが、俺は科学によって生まれたものだ。

本来、そんな考えを為すこと自体、おかしいのだ。


「・・・error?まさかな。」


彼女といるとほっとする。そして、彼女の笑顔が見たい。

彼女の役に立ちたい。携帯としても、それから・・・。

それから?


「・・・この気持ちは、いや、このsystemはなんだ?組み込まれて無いぞ、こんな・・・。」


こんなにも、彼女を想う、これは。

なんだろう?





MobileVitamin!!





戸惑う真壁。




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