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□先の見えない恋心
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「松永さん、松永さん」



この娘は馬鹿だ。いつも一つ覚えに私についてきては怪我をする。


「松永さん、松永さん」


この娘は馬鹿だ。私がこれの親を殺したというのに救世主と思い込んでいる。


「松永さん、松永さん」


この娘は馬鹿だ。いつだって邪魔であるのに、私の役に立とうとする。


「松永さん、」


この娘は馬鹿だ。役に立てることがそれしかないと、いつも私の盾になりたがる。


「まつ、」


この娘は馬鹿だ。


「まつなが、さん」


けれどその馬鹿を庇った私はもっと馬鹿だ。


「松永さん、」


何を持っているわけでもなし、庇う理由など何処にもありはしない。


「松永、さん、松永さん、」


それなのに勝手に動いた手が、足が、身体が、全てが恨めしい。


「まつな、」

「そろそろ煩いのだが。」


今更後悔しても仕方あるまい、こういう事は後の祭りだ。

ぽつぽつと降り始めた娘の涙に指を這わせて溜息を吐く。

声を発した事にふわりと笑顔が戻る娘。よかった、なんてまた一つ覚えに繰り返す。


「卿は私がこの程度で死ぬとでも思っていたのかね。」

「だって、松永さん、返事、」


してくれないから心配で。嗚咽の混じった聞き取りにくい痰の絡まるその言葉。

娘の中に暖かいものひとつ。

ああ、これは。


「なかなか興味深い。」


親の敵に恋心、それもまた、良きもの。

されどまだまだ育つ途中か。


「まぁゆるりと待とう。卿はまだ私のそばから消えぬだろうしね。」


ほろりと笑えば娘はきょとり。意味も分からず首を傾げる。

やはり、この娘は馬鹿だ。









先の見えない恋心

(卿は私に気付くかな?それとも私が落とされるかな?)











松永さんよくわからないけどこの間夢に出てきたので。←

松永「というより卿はばさらにはまりすぎではないかね?」

すいませんの一言に尽きます。

松永「まぁ説教は後だ。今は読んでくれたことに、礼を言おう。」

ありがとうございました!!



2013/04/25

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