りくえすと
□perfume
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薬のにおいが好きだった。大谷さんのにおいだから。辿っていけば大谷さんが居たから。
「ぬしも物好きよなァ」
「そう、ですかね」
すりすりと擦り寄る私の頭を大谷さんがさらさらと撫でた。ふにゃり、とつい笑みが漏れる。
しかしその手はすぐに離れて執務か何かしらないけど机上へと戻っていく。そんなことを気にもとめずすりすりしていると背後から手刀が降ってきた。あえて避けない。
「こらっ。刑部さん忙しいんだからさー、」
「やだ」
「待って待ってまだオレ全部言ってない、」
振り向かずに言えば左近は私を覗き込んでくる。それこそ大谷さんの邪魔では?
ぎゅ、と大谷さんの腰に腕を回して睨み付けると左近が呆れたような顔をした。むむ。何それ。
「いいんですかー刑部さーん」
ちら、と大谷さんを見ながら問うた左近に目線をやることもなく大谷さんがよいのよ、と返事をする。きょとんとして私に視線を戻した左近に私はにやりと笑う。
「…これ、三成様からッス。」
「ふむ、ご苦労よな。そこに置いておきやれ。」
「はぁい。」
私から視線を外して何か書を置いて出ていく左近。あーオレもいちゃいちゃする相手欲しいわーなんて言いながら廊下を歩いていった。
左近の置いていった書を引き寄せて大谷さんに渡す。礼の代わりかにこりと微笑んでくれた。
またさらさらと頭を撫でながら書を読む大谷さん。この何でもない時間が、すごく。心地いい。
またすり、とにおいを嗅ぎつつ擦り寄った。
perfume
(大谷さん、あったかい)
(さようか)
ほのぼのと。二周年アンケありがとうございました!!
2014/07/15