りくえすと

□まったく。
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同じクラスの甘寧くんは不良だ。しかし一緒に風紀委員をしてる。彼のことはよくわからない。

私は別に風紀委員に立候補したわけではない。決定時には寝ていた。恐らくそれが要因だと思う。

目が覚めた時には私の名前の下に乱暴な、けして上手くはない字で甘寧と書かれていた。なのでやはり彼が風紀委員をしている理由はわからない。

少なくとも立候補というか、自分で選んだのだろうということはわかったが。

今日はそんな甘寧くんと校内を徘徊。昼休みにうろうろするのが我が校の風紀委員の仕事なのである。

…だから、居眠りしていた私が選ばれたのだろう…ちくしょうと思わなくもない。畜生。

しかしよく考えたら甘寧くんとはろくに話したことがない。今日の巡回は彼から誘ってくれたが、そんなに真面目な質なのだろうか?イメージではないな。

ちら、と私より背の高い彼を盗み見た。思ったのだが、彼の方がよほど風紀直しの対象では。いや、言わない方がいいなそれは。

また視線を前に戻す。目立つなぁ甘寧くん。ちらちらと視線も来るしひそひそと話し声も聞こえる。


「おーいバ甘寧ー。」

「あ?」


不意に甘寧くんが呼ばれて立ち止まったので私も立ち止まる。そのまま二人して振り向くと同じクラスの凌統くんである。走りよってきて、何やら甘寧くんの耳に口を近付けた。

私はきょとりとそれを見る。

何か話しているようだ。私には聞こえない。見てても悪いか、なんて視線を逸らしたら甘寧くんが大きな声を出して、肩が跳ねた。

つい視線をそちらにやると甘寧くんが何故か顔を真っ赤にして私を見ている。その横で凌統くんがにやにやしている。私はその光景に、首を傾げた。

今度は私に凌統くんが近付いてきて、耳に口を近付けた。そっと小さな声で、耳打ちされる。


「風紀巡回は手を繋がないとなんだぜ。」

「そうなのか?」

「勿論。」


その話を聞いて顔を赤くしたのか甘寧くん。随分と初な…。

しかし、やらねばならないなら仕方ない。そっと手を差し出す。横でにやにやしている凌統くんが気になるが、まぁいい。


「…は、おま、本気か、」

「?しなければならないのだろう?」


首を傾げて問うと甘寧くんはばっ、と凌統くんの方を向いたと思ったらボディーブローをかました。えっ。


「余計なことすんな!!!!」

「いっでぇ…何すんだバ甘寧!!善意だっつの!!」

「悪意しか感じられねぇよ!!」


…何やら言い合いが始まってしまった…私の行き場の無い手はどうすれば。

と、思っていたらその手が取られた。きょとりとした。


「…んだよ。」

「…いや、もういいのか、言い合いは。」

「いいんだよあんなやつ。」


そして凌統くんを置いて歩き出す甘寧くんに手を引かれ私も歩き出す。

ううん、やっぱり甘寧くんってわからないな。













まったく。

(どうだった?凌統。)
(どうも何も、向こうから手を差し出してくれたよ。)
(それは何とも…。)
(うん、面白かった。)













なんだか凌統さんのと似ている←

10000hitありがとうございました。



2014/02/16

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