短いの2
□上官と接吻
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結構前の布陣だなー、なんて考えて、上官に視線を戻す。
「鍾会様はどちらの布陣で?」
「…」
無言のままにとんとんと指で叩かれた位置はおそらく。
「奇襲なさるんですか。」
地図に移した視線をまた上官に戻す。なんだか少し不機嫌な顔だった。
「鍾会様?」
「…そうだよ。」
眉間に皺を寄せて何回も聞くなと言った。ええと、聞いてはいないと思うんだけど。
虫の居所が悪いらしくこちらに向けられた視線はすぐに逸らされた。なんだ。なんなんだ。
首を傾げているとさらに苛々とした様子で腕を組んでとんとんと指で腕を叩いた。
「…お前、怪我するなよ。」
その苛々したままの姿で放たれた言葉はあまりにも不似合いで、きょとりとする。
「聞けよ馬鹿」
「あいたっ」
アホ面さげて見ていたら手刀をかまされる。結構力が強かった。痛い。
「聞けって、聞いてましたよ。」
「じゃあ返事くらいしろ。」
痛みにむっとしていたら正論で返される。しかしだって、驚いたんだから仕方ないだろう。
「…死にそうになるなよ」
ほら、また不意打ちだし表情とあってないし。驚いてまた、アホ面になってしまったじゃないか。仕方ないだろこれは。貴方が悪い。
「おいまたか。そんなに私がこんなことを言うのはおかしいか。」
「はい。表情もあってないし。」
「そこを動くな、処分してやる。」
いやだって、仕方ないじゃないか。貴方はいつもの自分を顧みるべきだ。
まったく、うちの上官は突拍子もなくていけない。
貴方にとっては繋がっている気の遣い方かもしれないが私にとっては全然繋がってないどころか突然出現したものなんだって。そりゃ驚くだろう。
心中で溜め息を吐くといつのまに側にきていたのか地図を挟んで向こう側にいた上官が私の隣にきてほっぺたをつねった。痛い。
「なんふか。」
「いいか、誓え。私が死ぬなと言ったんだから死ぬなよ。」
「わはりまひは。」
「…よし。」
何を心配してるんだか知らないけれど、眉間の皺が薄くなったのでいいか。
まだほっぺた痛いけど。
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