短いの3

□きっとずっとやまない
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「貴女にはその色がよく似合う。」

「そんな」

「私と揃いだった菊の柄も、実に、実に似合う。」

「やめてください」

「その清きには、私は触れられませぬな」

「いやです」


ぱたり。一つ音がして、ちらりと空を見上げた。蒼い。

それでは、と彼女を見詰めた。ああ。大雨、ですな。

またぼろぼろとこぼれ落ちるそれは大粒で、前なんて見えてないだろうに、じっと真っ直ぐに私を注す視線が…酷く、綺麗で。

それに写る私がまた真っ黒で…白の混じる彼女のものと、まるで対称のようで…。

口角が上がった。けれど眉尻が下がった。幼子をあやすように、そっと頭を撫でていた。


「最後の命を差し上げます」

「いりません、いやです、」

「貴女は、…曹操のもとから離れてはなりませんぞ」


笑って見せた。いやだと仕切りに言う彼女を置いて、私は私の野望のために。

彼女には綺麗でいてほしい。奸雄といえど曹操は、彼女に汚いところなど見せまい。きっと私は、…そばにいたら見せてしまう。

私の野望のなかには、貴女は居ない。美しい理想のままでいてほしい。

少しだけ涙を掬った。雨はまだやまない。






きっとずっとやまない

(いかないで、陳宮様、)
(いかねばならないのです、私は。つれてもいけないのです、私は。)






自分勝手ですみませんな



2014/07/15

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