短いの3
□何もかも共に
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ごろりと横になっている彼女は先程から一言、一言も発していない。拗ねているような態度に身に覚えがなく首を傾げる。
近付いて顔を除き込むと寝ている…わけではないようで。私の視線に鬱陶しそうに視線で返した。
「何です」
「いえ、拗ねているのかと。」
「…」
図星、と取れる仕草。さっと逸らされた視線ににやり、と笑ってみせれば喜ばないでくれますか、と。機嫌まで損ねてしまいましたな。
「一体、一体どうしたというのです?」
横になる彼女の横に私も横になって腹部をぽんぽんと叩いてみる。子供扱いされたと勘違いしたようで彼女の眉間に皺がよった。
「…」
「おっと、眠りませんように。」
「寝ませんよ。」
子供じゃあるまいし。そう付け足して私に背を向ける。なかなか機嫌が回復しませんな。
ぴとり、とその背中にくっついて腰に腕を回す。ちゅ、と首筋に軽く口付ける。
びくりと肩が震えて、恨めしそうな顔が振り向いた。
「何なんです」
「何故拗ねているのかと聞いているのですが、無視をされたので強行突破です。」
「元軍師が聞いて呆れる台詞ですね。」
つん、と顔を逸らして言われた言葉にきょとり。何故今それを言うのです。私だって貴女には強行突破したいですぞ。
「…もしや、もしやそれ関係で?」
僅かに強張った身体に当りを確信。度々彼女は前世の話をした。そしてそれは頭の中がそれ関係のことで一杯ということ。
「今度は何です?もう馬は乗れませんぞ。」
「いつの話です、それ。」
三ヶ月ほど前でしょうかな?と曖昧に返せば彼女の身体はまた強張る。返事が来るとは思っていなかったのでしょう。
確かそれが一番近い…そう考えると久々、久々な気もしますな。
この前は馬に乗せろと煩かったですが…もう乗れませんぞ、車にしていただきたい。
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