MobileVitamin!!
□その5
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「これだ。これがいい。」
「なんで翼が決めるの・・・翼が履くわけでもないのに・・・。」
絶対にこれがいいと主張するのは私の携帯、modelvitamin-X001、真壁翼。
とはいえ金額のことは考慮してくれているらしい。・・・私のボーナス半分にきっちりだ。税金含めて。
仕方ないから勧められるままに履いてみる。・・・おい、なぜ私の足のサイズを知っている。
履いてからそっと携帯の表情を窺ってみると、笑っていた。しかも自信に満ち溢れた顔で。
「お前にはその色がよく似合う。」
きょとんとした。なんだそれは。確かに好きな色だけど。
なんだか恥ずかしくなって、俯く。自動的に視界に入る靴。
新品の、綺麗な靴。私には勿体無いくらい、可愛らしい靴だ。
「気に入っただろう?」
じっと靴を見ていたら図星をつかれてびくりとする。
そっと顔を上げてうん、なんて小さく頷くと満足そうに笑われた。
「決まりだな。」
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買って外に出ると、思った以上の寒さだった。
うっ、と声を出すと手がつかまれた。
暖かい手だった。
「翼、結露とかしてない?大丈夫?」
「何を言っている。俺は超high specなんだぞ?no ploblem!!」
「じゃあ、大丈夫だね。」
真偽はわからないけれどとりあえず信じておこう。
つかまれた手をこちらからもきゅっと握り返して歩き出す。
電車に乗ると今度は座れなかったので満足そうな携帯でした。
MobileVitamin!!
服装センスは抜群だよね真壁。
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