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□同居人はキツネさま!?2
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※@の1時間後のおはなしです








ふわふわと、目前で金色の塊…いや尻尾が揺れている。



「なあなあ、これテレビってやつだろ?前
契約した奴んトコにもあったぜ」


床にぺたりと座り込んで画面に食い入っている。尻尾は忙しなく揺れ、ご機嫌な様子だ。




A




僕はと言えば、朝食がまだだったため一人キッチンに立ち、トーストとスープを2人分作っている。そこでふと思った。


(あれ?トーストとか食べれるのかな?)


人と似た容姿をしているとは言え、人ならざるモノなのだ。人と同じ物を食べるのだろうか。


「ねえ、」


(あ、そう言えば名前聞いてなかったっけ)


「名前なんていうの?」


そう言ってテレビの前に視線を向けたが、そこには誰もいなかった。あれ、と思って部屋を見渡すが何処にも姿が見えない。

きょろきょろと頭を動かしても視界に入って来ないだけでなく、気配さえも感じられない。

まさか、家から出て行ったのだろうか?いやそれはないだろう。あのキツネは捨てられることに怯えているはずだ。だから自分から僕から離れていくことはしない。


先ほど聞いた話ではあのキツネ一族は特殊な能力を持っているらしい。何処に居ても契約者の居場所を把握し、その者に危険が迫るとそれを察知して命を守ってやる。
それは己が生気を貰う相手がいなくなっては困るからという理由。


なら人間なんていくらでもこの世にいるのだから、誰からでも生気を吸えばいいじゃないかと思うのだが、それにも訳があるらしい。


契約した相手以外の生気を吸うことは一族内での最大のタブーで、犯した者は生を奪われる。


一族の存在が公になっていけば人間に捕らえられてしまうからだ。
物語の中だけだと思っていた妖狐が居ると知れれば、研究にまわされたり、人の生気を吸うと知れば害を排除しようとするだろう。


それだけでなく、契約者以外の生気を吸うことを繰り返せばキツネ自身が自分の首をしめることになる。
と言うのは、体内に何人もの異なった質の生気が巡るとそれを消化しきれず、エネルギー源であるはずの生気に己の体を蝕まれるのだそうだ。



だから契約者の命(自らの生きる糧)を守り通さなければならない。
そうしてキツネ達は本能的に「捨てられる」ことを心から恐れていくだろう。




(なら一体何処に…)














「エドワード、エドでいいぜ」


「!?」
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