ほもいの

□神様も辛いよね
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※『とある青年の思考』の続き



最近、悟飯の様子がおかしい。

一人で行動していることが多くなったようだ。
あのミスターサタンの娘ともあまり会っていないとか。
デンデの元には欠かさず遊びに来るのだが、俺とも目を合わさん。
遅い反抗期か?と思うものの、奴に限ってそれはないだろうし、目を逸らしただけで反抗という考え方がまず間違っていると自省した。
ただ、ずっと俺の後ろを付いて回ってきたあいつのこれまでを考えると、どうにも腑に落ちない態度ではある。
デンデと会話している奴の表情も、どこか浮かないように感じた。

奴が帰った後で、デンデに変わったことはなかったかと聞いてみるも、空振り。

その時は、人間だから、俺たちにはわからない悩みでもあるのだろうと諦めたが、未だに変な調子だということは、かなりの大事だということだろうか。

その気になれば読心でも何でも元神としての能力を使って暴けるのではあるが、紛れもない私情に、しかも弟子の悩みを知りたいというただそれだけの我欲のためにそれを乱用するのもどうかと、仮にも魔族である俺は思った。同化の影響も多少はあるとはいえ、随分丸くなったものだ。

そもそも何故俺はそこまでして悟飯の悩みを知ろうとしているのだろう。
奴が俺に相談しないということは、俺には関係ないか若しくは俺に言えない悩みであるという訳で、それならば俺に介入の余地はない。
しかしそれでも気にかかってしまうのは、奴が結局俺にとっての可愛い弟子であるからなのだろうか。

目を逸らされたのが、何となく引っ掛かっている。

他人の気持ちを気にするなんて元神らしからぬ行為だ。これが地球に居続けた弊害なのか。

いずれにせよ、今は奴の動向をただ傍観しているべきなのだろう。俺が無駄に心配する程奴は弱くない。

弟子離れしろ、ということなのか。

(心を読んで構わない相手ならばよかった)
 

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