たかこの部屋

□Happy-Valentine
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むせ返りそうなほど甘い香りが充満している。
ここはキッチン、無論俺の家。

今、俺はノノハと一緒にチョコを作っている。
ノノハスイーツは苦手だが、知り合いで料理ができそうな奴はノノハとギャモンぐらいだった。

ギャモンにはむかつくし、…とにかくいろいろ理由があるので頼めなかった。
意外にノノハの教え方は丁寧でわかりやすかった。
ただ生クリームを泡立てるのは途中でののはに変わってもらった。腱鞘炎にはなりたくなかった。
きっとノノハなら大丈夫だ。そうに違いない。

そうしてチョコを型に流し入れあとは冷やし固めるだけだった。


「ノノハ…ありがとな、」


「いいのよ、まさかカイトが自分から作るだなんて言い出すと思わなかったけど…あっ!」

突然ノノハが何かを思い出したように自分の鞄を漁り始めた。

「あったあった〜…はい、カイト。あげる!」

「お、…ありがと…」

ノノハから手渡されたものはピンク色の袋に赤い色のリボンで可愛くラッピングされているものだった。
きっと中身はチョコだろう。
ノノハスイーツ…

ノノハは明日部活が忙しいらしく今日じゃないとみんなに渡せないらしい。

「じゃあ、私帰るから!みんなに配らなきゃっ」

「おう、じゃあな」


ドタドタドタ パタン

部屋に一人になったとたん
不意に頬が熱くなった。
どうしても渡す相手が頭に浮かんできてしまう。

「…はあぁ」

深くため息をついた。
明日のことを考えるたびに、心臓が痛くて。
受け取ってもらえるだろうか。拒絶されたりはしないだろうか。

「うぅ……///」
さっきから同じことばかりが頭の中をぐるぐると回っている。


「風呂…入るか」


俺は立ち上がり脱衣所へと向かった。



しばらくして風呂から上がり
ベッドの上へと倒れ込む。
しばらくの間ぼーっとしていた。

立ち上がって電気を消し、毛布を頭からかぶり明日のことを考えたくなくて目を閉じた。
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