お題作品

□願うのは君の幸せ。それしかいらない
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“願うのは君の幸せ。それしかいらない”



変わった、そう感じるのは何度目かしら。

アナスタシアの視線の先には、騒がしくも愛しい仲間。
そしてその中心は何時だって“光”
不思議なことに彼の周りには人が集まる。
良くも悪くも彼は目立つのだから仕方がない。
今だって闇と風が光を囲み言い争い、今では日常として扱われてしまっているが慣れとは恐ろしい。

「まるで、猫のじゃれあいみたいだわ。」

自分しか信じず、何時だって手負いの獣のように周りを威嚇していた。
今じゃすっかりなりを潜めてしまったが、私が反間だと分かった時は彼は昔のままだった。
次に再会した時“昔”の彼ではなかった事に内心ホッとしたのを覚えている。

「変な話しよね?私が原因なのに。」

視線を向けると、土と火が増えていた。大方騒ぎを聞き付けやって来たのだろう…因みにこの騒ぎも日常だ。

「私はね、才蔵。昔の貴方も好きだったわ。」

昔の彼の領域に踏み込める人間は数えられる程しか居なかった。
今のような笑顔は見ることは出来なくても、隣にいるだけで嬉しかった。

「幼なじみ。響きは良いかもしれないけれど、私達の距離は近すぎたのね。」

私にも彼を変えるチャンスはあった、でもこの不安定な関係を崩すことになったら?そう思うと出来なかった。

「思えば、伊佐那海に嫉妬していたのかも知れないわね。」

関係を崩すのが怖くて踏み込めなかった私。
関係を築くために踏み込んだ伊佐那海、彼女は才蔵を“光”だと言っていた。
なんだかんだ言いながらあの光は優しく暖かい。

何時しか、光を囲むのは闇と風だけではなくなっていた。
騒ぎを聞きつけ土と火が集まってくる。呆れを滲ませた水と金が、昼間にも関わらず酒を下げた雷が、一線引いたところから草が、一癖も二癖もある主が…同じ空気を共有する。

こんな何気ない日常が続けば良いとがらにも無く願ってしまう。
こんな世だからこそ、場違いともいえる平和を望むのだろう。

光は良くも悪くも目立つ存在。

「貴方は今幸せかしら?」

聞いたところできっと答えてはくれないだろうし、「幸せだ」とも答えてくれないのでしょう?多分貴方は自分の幸せより周りの幸せを優先してしまいそうだもの。

「だから、私が変わりに貴方の幸せを―――」

(願うのは君の幸せ。それしかいらない)

名前を呼ばれて、その目に自分を移してくれる…たったそれだけの事で私が幸せにしてもらっていたら意味が無いわね。


*あとがきと言う名の謝罪。
 最後まで読んで頂きありがとうございました。
アナ才と言うより、アナ→才ぽくなってしまったうえ、才蔵が一切喋って無いという結果になってしまいました。雰囲気を感じていただければ幸いです。
最後の方が駆け足になってしまいましたが企画に参加させていただきありがとうございました、そしてこのような駄文を最後まで読んで頂きありがとうございました。

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