天の時渡り

□戦国の世
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「…なるほど、それで此方の世に来たのだな」



煙管を吹き、真田幸村は真っ直ぐ前の少女を見据えた。
才蔵が赤い頬をさすりながらちらりと視線を送るとその少女…詩穂はコクリと頷いた。


才蔵に助けて貰った詩穂だったが彼が伊佐那海にぶたれてしまった。それから2人の喧嘩を傍観して、落ち着いた頃に自分が戦国時代に来てしまったということを知った。自分がいた時代とは違う木造の平屋が並ぶ城下町には賑やかな人々の声が行き交っていた。


彼女が自分が未来から来たことを才蔵に伝えると半信半疑で「ひとまずオッサンの所に行こう」とこの国の殿…真田幸村の屋敷に案内された。


そして今真田幸村と面会している。大体の話は才蔵から聞いている為、幸村は別に驚くこともなく彼女の話とこれからどうすればよいか話し合った。


「で?お主。帰れるのか?」



「え…いや、帰れる方法が分からなくて…」



「なら!此処にいるといいよ!!ねぇ。幸村様」


2人の話に割り込んできた伊佐那海の提案に「よかろう。大勢の方のが賑やかで」とにこやかに承諾した。


「やったぁ〜!私、伊佐那海っていうの。え〜と…」


幸村の返事に嬉しさを出した伊佐那海はそのまま詩穂に自己紹介をするものの、彼女の名前が分からなくて唸ってしまった。


それに微笑をたたえて詩穂も自己紹介をした。


「私は天宮##MAME1##。よろしくね。伊佐那海ちゃん。」


「うん!!」


詩穂に目を輝かせる伊佐那海を横目に才蔵は「また、変な奴が増えた…」と溜め息を吐くのであった。
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