Novel V

□Thanksgiving
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一緒の家からツアーに出発して、一緒の家に帰ってきたりもした。

移動の車内はいつもsakuraが隣で、足を乗せられては苦しい思いもした。

ライブで「DUNE!」と言ったのに、振り返ったらsakuraがいなかったのは、今で
も恥ずかしい思い出だ。



初めはただウマが合うのだと思っていたが、いつしかそれは淡い恋心へと変化を
遂げ、暗いセットの陰で子供の悪戯のように、かすめるようなキスをしたあの日。


気がつけば、バンドのメンバーとしてではなく、恋人として隣にいた。

家族ぐるみの付き合いもしてきた…。



初めてsakuraの母親に会った時は、非常に緊張してしまったのを記憶している。

そして息子を見る母の瞳の優しさに気がついて、彼を羨ましくも思ったが、
その柔らかな視線が自分にも向けられ、こそばゆい気持ちになった。


都内のライブにはよく足を運んでくれ、その度にメンバーにも微笑みをくれた。

柔らかいけれど力強い、母の優しさを感じさせる温かな手で、よく頭を撫でられ
た。

恥ずかしかったり、戸惑ったりもしたけれどhydeはそれが好きだった。


彼女に会うと里心がつき、hydeは必ずと言っていいほど実家に電話を入れたもの
だった。



彼の言うように、全ての人を受け入れる人であった。

否定することなく受け止める、強い人でもあった。



けれども、hydeはsakuraとの本当の関係をついに、告げることが出来なかった。

感づいていたのかと、確かめる術ももはや無い。







L'Arc-en-Cielが15周年を迎えた年。

かねてよりの夢であった「sakuraともう一度I'm so happyをやりたい」

その夢を叶えることが出来た。


15周年の記念と、年末のお祭り騒ぎの中実現した夢に、彼の母親も自分のことの
ように喜んでくれた。
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