Novel V
□Birth
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hyde―――
「……hyde……」
「ん…」
耳朶に吹き込まれる心地良い響きに、オレはゆったりと視線を上げた。
「…hyde…」
髪をなぜられると、甘い疼きが背を走るようだ。
「やっ…ちゃん……」
口を開けば、その疼きを吐き出すかのように甘い吐息が漏れた。
何か物言いたげな彼の黒い瞳に絡めとられる。
「…hyde…」
「…なぁ…に?」
少し脅えて尋ねたが、彼はその微かな脅えを感じ取ったのか小さく頭を振った。
「………いや…、…なんでもない……」
そう言って微笑むので、オレは深く考えることを止めてしまう。
きっとその先の言葉を聞いてしまったら…。
今のオレたちは、変わってしまう…。
そんな予感に身を奪われ、オレは目の前の男から視線を外した。
「……また…、そのうちな……」
「え…?」
小さな呟きが聞こえたと思った瞬間。
突然激しく突き上げられ、体が跳ね上がって何も考えられなくなった。
「ひゃっ…!…あぁ…」
頭の中が真っ白になる。
「……hyde…、hyde……」
「あっ…、やっちゃ……!んぁっ!」
何度か体を揺すられると、意志に反して身体がビクビクと痙攣し、オレは絶頂を迎える。
同時に体の奥深くに熱い液をかけられるのを感じて、意識が遠退いた。
頭の中が真っ白になる。
真っ白……。
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