Novel V

□Sweet Heart
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「…何?」


突然、sakuraにまっすぐと見つめられ、hydeはビクリと身を竦めた。

「え…?…な、何?」

瞳を何度も瞬かせ小首を傾げるhydeに、sakuraは苦笑いを浮かべながら、
「いや…」と言葉を続けた。

無意識のように自らの唇に指を這わせる、その華奢な手首を捕らえると、
微かに怯えた光が瞳に宿った。

「あんたさ…、唇触るのくせ?」
捕まれた手首に、じんわりとした熱を感じながら、hydeは再び首を傾げた。

「…くせ?」
「そのさ、唇を触るの」
ソファに座るhydeに視線を合わせるようにしゃがみ、
sakuraはほっそりとした頬を包み込むようにしながら、その唇に触れた。

「ほら、触りすぎで唇荒れてるじゃん」

「…ん…」
優しく触れられ、思わずhydeの口から吐息が漏れた。
「そんな唇触りながら見つめられたらさ…」
クスリと笑いを漏らして、sakuraは甘ったるい声音で囁いた。

「誘ってんのかと思う…」
「なっ……!」
一気にその頬を朱に染め、hydeはsakuraから視線を反らせた。

彼のことを目で追ってしまっていたのは無意識で、
指摘されるまで全く自覚は無かった。
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