Novel V

□erosion
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「はじめまして」
「…はじめまして…」

オレは新しくバンドに入ることになったのだが、それはとんでもないバンドだった。
「sakuraです。よろしく…」
「……hydeです」

…特にボーカルが。




「なぁなぁ…」
「え?」
まだメンバーになって間もない頃、ふとhydeに声をかけられ振り向いたら、いたって真面
目な声音で尋ねられた。

「…オレって…どう?」
「…は?」
何をどう、なのか解らず、しどろもどろになりながらも何とか言葉を紡ぐ。

「…あ…、まぁ…別にいいんじゃね…?」
「………」
微動だにしないhyde。
返答聞いてたのかな、と少し焦りを覚え始めたころ、やっと「…あっそ」と呟くと、何事
も無かったかのように無表情に立ち去った。

それから少しずつ、歯車は狂い始めていった。








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