Novel V

□小さなあなた
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今日も遅刻で扉の前に到着すると、中からは甲高い笑い声が響いてくる。
一呼吸おいて、オレはその扉を開けた。



「…きゃは…、あ、やっちゃん」
笑い声の主、hydeと目があう。多少いつもより上の位置で。
「おぅ、sakura。また遅刻やーん」
視線をずらしたら、hydeの顔の斜め下にあるkenちゃんと目があった。

「……何してんの…?」
当然の疑問をオレは口にすると、kenちゃんに持ち上げられたまま、hydeは答える。
「え…、高い高いやん…」

「…やんって言われても。…新しいブーム?」
「そう…!やっちゃんもやってぇ」
kenちゃんに下に下ろしてもらうと、hydeはオレに抱き着いてきた。
いつもより低い位置に。

「……えっ…、hyde……」
いくら鈍いオレでも異変に気付く。
「……背が……」
ウエストあたりにじゃれついてくるhyde。

「……いくらhydeがチビだからって…」
有り得ない…。
「誰がチビやねん」
オレの呟きにすかさず突っ込みを入れながらも、hydeは抱っこをせがむ。

釈然としないまま、その体を抱き上げてみると、やはりいつもより軽い。
「あんた…、どうしちゃったわけ?」
真正面から覗き込むと、心なしか肌もすべすべに若返っている雰囲気。

「なんか若返っちゃった」
「………」
「朝起きたらな、背が縮んでてん。お肌も真っ白プルプルすべすべ!」
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