鉄J long

□*Hyuk
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「ドンへ…また別れたのかよ。」


ドンへはチャラい。いや軽い。自分から告白した事がないらしく、今は来るもの拒まず状態。しかも付き合ったと思ったらすぐ別れて長くて2週間しか持たないんだ。それも全部ドンへから別れを切り出したり、フったりする。今回だって…


「だってさ、前のあの子魚食べれないって言うんだよ。俺魚ってあだ名だったりするのにさー魚嫌いって言われていい気しないじゃん。」

「それだけの理由でかよ…。ってか前のあの子?」

「新しい彼女出来たよー。今度こそ運命の人だ!!」

「はぁ…」


毎回そう言って運命の人だったことは一度もないんだけど、…今日別れて今日新しい彼女作るってほぼ日替わりじゃん。実際の所ドンへは明るくて、さわやかで、性格もいい。さらに抜群に甘い顔、甘い声ときたらそりゃモテるよな。男だってクラッとくるもん。俺だけかも知れないけど…


「…お前を見守る俺の立場にもなってくれよ…」

「ん?ヒョクチェなんか言った?」

「いーや。なんでもない。」


言えない。もう彼女を作るななんて。ましてやその理由がお前に惚れてるからだなんて。いつものことなんだ、ドンへが別れて新しい彼女を作るなんて事。それでもまた別れて欲しいって、そしたら俺を見てくれるんじゃないかって思う俺は相当女々しいな。


「ヒョク!!屋上行こう!!弁当食べよう!!」

「うん。」


俺はまだドンへが女と一緒にいるとこを一度も見ていない。それは俺らが通ってる高校が男子校というのもあるが、ドンへの恋愛の仕方が俺には到底理解できない。ドンへが言うにはベタベタ引っ付いて来る女は嫌いで、お互い暇な時だけ会う、それが無理なら付き合わないらしい。それに俺は相当救われているんだけど、好きな人が恋人といちゃついてるのを見るなんて誰だって嫌だろう。


「最近ヒョクチェ元気ないね。何かあった?」


いっそお前のせいだっていってやりたい。


「寝不足なだけだから、大丈夫。」


お前の事考えすぎて寝不足。目を閉じる度にドンへのバカみたいな笑顔が浮かんできて、明日はまたドンへと遊べるかなーとか、ドンへが俺の事好きでいてくれたらーとか、そういう事を寝る前に考えるせいで、ドンへが次の日学校休んだ日にはもうテンション低いなんてもんじゃない。


「ヒョクチェ顔赤いよ?ん?青い?ヒョクチェどうしたの?」


そういやここ最近ろくに寝てないなー。と思った時には屋上の床と空が一回転した。俺の名前を心配そうに呼ぶドンへの声が薄れる意識の中で聞こえた。






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