*黒バス

□彼の欲する物は・・・。
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授業が終わりSHRもスムーズに終わり週番でも掃除当番でもない俺は真っ先に今吉さんの部屋へと向かった。
もし俺も方が遅くて待たせてしまう事になったら申し訳ないなという気持ち半分、俺の方が遅かったら何されるかという恐怖感半分で少し急ぎ足で寮へと足を進める。





ようやく今吉さんの部屋の前まで来て一呼吸置きドアをノックする。
数秒間待ってはみたが返事はない。
恐る恐るドアノブへと手を伸ばし回そうとすれば回らない。
どうやら鍵がかかっているようだ。





そっと胸を撫で下ろし(2つの意味で)どうしたものかと考える。
このままドアの前で待っていてもいいが今吉さんがいつ帰ってくるか分からないし、もし今吉さんより先に顔見知りの先輩方なんかが帰ってくれば色々と面倒だ。
一度自分の部屋に戻ってもいいのだがそれこそ二度手間だし・・・。
どちらにせよ面倒だなと結論付けた俺は合鍵を使い部屋の中で待たせてもらう事にした。





ドアを開け部屋に入るとやはり靴はなくまだ帰ってきていないことを示す。
とはいえ時機に帰ってくるだろうと高を括りコーヒーでも淹れて待っていることにした。





余談だが、この学校の寮の部屋の鍵は各部屋3つ存在する。一つは学校側が管理しているもの。
もしも鍵を無くしてしまった時にはそれを使わせてもらい部屋に入ることができるのだ。
そして次に普段使う物。
そして最後の1本はスペアキーだ。
これは個人で管理しても別に何の問題もないのだが、運動部に力を入れているこの学校は遅くまで部活に勤しむ者も多いので夜遅くに学校側に迷惑を掛けるのはよろしくないとの事で部長、若しくは顧問の先生が管理していることが多い。
俺らの部活も前者の方で主将の今吉さんが全てを管理している。
・・・つまりそう言う事だ。察してくれ・・・。





少し熱めに淹れたコーヒーの俺の分だけに砂糖とミルクを注ぐ。
コーヒーゼリーは好きだけどコーヒー自体はミルクと砂糖がないとどうしてもいただけない。
そんな俺を見て最近随分と仲が良くなってきた若松は"お前、たまにガキっぽいとこあるよな"と笑うがこれだけは仕方がない。
そう言えば今吉さんも日向もブラック派だったなーなんて思いつつコーヒーカップをローテーブルに置きソファーに体を沈める。
しばらくぼーっと考え事をしていれば扉が開く気配がして俺の恋人が顔を出した。




「あー、やっぱ俊の方が早かったんか。すまんな、待たせて。」



「お帰りなさい。お邪魔してます。あ、コーヒー入れておきましたよ。」



「おおきに。」





そう言い俺の隣に腰を下ろし少し冷めたコーヒーを啜る。
今吉さんは少し冷めたくらいのコーヒーが好きだと前に1度教えてもらったことがある。
一方俺は昔から重度の猫舌な為かなり冷まさないと飲めないので少し羨ましかったりする。









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