らぶらぶアスカシンジ
□香港逃避行!!
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「シンちゃーん! アスカー!」
朝から響きわたるミサトのけたたましい声。
「うーん、なによーもう」
アスカはめざまし時計に目をやる。まだ朝5時だ。雪が降るお布団ラブなこの季節、しかも今日は土曜日だ。寒い日の休みは一日だらだらすると決めているのだ。あんな年増に付き合っている暇はない。
「だぁれが年増よ! 乳臭いガキンチョのくせに!」
「うわっ、ミサト! あんたどっから湧いてきたっ! ていうか人の心を勝手に読むなっ!」
「うるさい。はい。あんたのパスポート」
「ぱ、ぱすぽーと?」
「今から香港にいくわよ」
「ほ、ほんこん?」
「昨日テレビでさー、アラサーのモデル2人組が弾丸トラベルしてて、なんか潮州料理とか、飲茶とか、エッグタルトとか美味しそうだったのよ〜」
「で? なによ」
「でさ、思わぬ副収入が百万もあったから、三人で楽しく旅行して。パーっと使っちゃおうと思って」
「ひゃ、百万? どうしたのこんな大金!あ、あんたまさか!」
「違うわよ〜、なにも悪いことなんかしてないわよ〜。なんか今さ、ファミリーレストランの企画で全品制覇したら百万っていうの今やってるじゃない」
「...どっかのテレビ番組のパクリみたいな企画ね」
「で、制覇したから百万ゲェーット!」
「...まあミサトの食欲は、無駄にリアクションの激しい、某中華マンガの副料理長並みよね」
「さ、準備していくわよ! フライトは8時半! 空港に急ぐわよ! いざ!香港逃避行!」
「勝手にいってきなさいよ...。お土産よろしく」
「って寝るなぁ! ...いいわ。あんたが行かないなら代わりにレイを誘うから。あーあ、シンちゃんとレイ、異国の地であーんなことやこーんなことに...」
「あ、あーんなことや、こーんなこと?」
以下、アスカの妄想
「綾波、君の瞳は、この百万ドルの夜景よりキラキラ輝いているよ」
「嬉しい、碇くん! お願い、優しくキスして...私を強く抱きしめて」
以上、アスカの妄想終了。
「だだだだだめっ! み、ミサト! あ、あんたは教師のくせに不純異性交遊を推奨する気なのっ?」
「あーら。教師とはいえ私は女よ。女が恋を応援するのは当然じゃない。さー、どうすんのアスカ? さっさと決めなさい。決めないんならレイに今すぐ電話するけどぉ」
「行くわよ! いけばいいんでしょ!」
「じゃあ今すぐシンちゃん叩き起こして、62秒でけりをつけなさい」
アスカは部屋を飛び出してシンジの部屋に飛び込む。
「くぉらー! シンジー! とっとと起きて準備しなさい! 」
アスカはシンジの布団を剥ぎ取る。そしてシンジの「生理現象」に顔を真っ赤にした。
「キャー、エッチ!バカ!ヘンタイ! 信じらんない!」
バチーン!
シンジは頬に大きな紅葉を作った。