燈馬君と可奈ちゃんの日常

□ヤキモチ
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「み、水原さん」
「なによ!」
「あ、あの、僕何かしましたか?」
「べっつに!」
「じゃあ、何で怒っているのですか?」
「怒ってない!」
「あ、あの」
「もういい! 燈馬君なんか嫌い! 大嫌い! もう話しかけないで!」
「ど、どうしてそんなことを...」
「燈馬君、他に好きな子いるんでしょ? 私なんかのそばにいないで、その子のところに行ってあげたら?」
「ええ? な、何の話ですか?」
「とぼけないでよ! 香坂たちが見てるのよ! あんたと綺麗で上品な女の子が、駅前の喫茶店で親しげに話しているのを! その子が泣いているのを、優しく慰めてあげているようだったって! すごく親しそうだったって! あんたがそこまで心を開く相手なんて、優ちゃんかロキぐらいじゃない! あ、あんたにとって大切な人なんでしょ?」
「ええ? うーん。確かに大切な人ではありますね」
「なっ、や、やっぱり...」
「森羅の大切な人は、僕にとっても大切な人ですから」
「え....? えええー?ってまさか!」
「七瀬さんですよ? 僕が駅前の喫茶店で会っていたのば」
「な、な、な、で、でもあの七瀬さんが泣いていた?」
「...最近森羅の元気がなくて、よく泣いているそうなんです。七瀬さんにも理由を話さないって。それで七瀬さんもすごく心配していて」
「そ、そうだったんだ。心配だね。って言うか私にも教えてよ! 水臭いな! さっそく森羅君励ましに」
「いえ、七瀬さんに任せましょう。森羅の心の奥底に触れられるのは、森羅のお母さんか七瀬さんだけです。僕も森羅のお母さんが亡くなった時以外、森羅がそんなに落ち込んでいるなんて聞いたことがありません」
「そ、そっか。ああ! でも私ばかみたい! よりによって七瀬さんだったなんて! てっきり守ってあげたいタイプの清楚なお嬢様かと! わ、わたしわがままで怒りんぼで大食いでガサツだから、わたしよりもそういう子が燈馬君好きなのかと」
「そ、そんなことありませんよ。僕は水原さんのことが、大好きです。ずっと一緒にいたいです」
「ほ、本当に?」
「ええ。み、水原さんは? や、ヤキモチやいてくれたんですよね?」
「や、ヤキモチ?ヤキモチ、 なのかな?...うん。燈馬君がそばにいてくれないと、わたしすごく悲しい。うん、燈馬君が好き!大好き!」
「水原さんっ」

ぎゅっ

「燈馬君、燈馬君、燈馬君!!」
「水原さん、大好きです!」

アホやな、わし(笑)

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