燈馬君と可奈ちゃんの日常

□愛のフィルターかかり過ぎ劇場
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「2人の想い」

「可奈」
想に名前を呼ばれるたびに、私の胸は高鳴る。
でもあいつはいつも私を不安にさせる。
想と長野のリゾートで結ばれて、私たちはひとつになった。
でも、あいつは急に恰好良くなってしまった。
顔つきだって急に凛々しくなって、学校の女の子たちはいつも騒いでいる。
純粋すぎるあいつは、
「可奈に愛されていることが、僕に勇気を与えてくれたんです」
なんて恥ずかしいことを顔色ひとつ変えずに平気で言うけれど、私は気が気じゃない。
この前だって、私がちょっと熱っぽいっていうだけで
「可奈、すぐに帰りましょう」
なんて言って、私をお姫様だっこで教室から連れ出して、
タクシーを呼んで私の家まで送っていってくれた。
当然クラスは大騒ぎだ。
香坂や梅宮まで、「燈馬君いきなり恰好良くなったよね」なんて言い出す始末。
ねえ想、私心配だよ。

「想」
可奈にそう呼ばれるたびに、僕の心は満たされる。
でも可奈はいつも僕を不安にさせる。
前から元気いっぱいで可愛かったのに、最近はますます可愛くなった。
口調も前みたいな男っぽい感じじゃなくて、すごく女の子らしくなった。
最近では違う学年の男子まで、可奈を見ているような気がする。
「あの子可愛いよな」「水原変わったよな」
なんて声を聞くたびに僕は不安になる。
可奈は僕のものだってみんなに宣言したかった。だから可奈が熱っぽいって
言った時、みんなにみせつけるように可奈を抱きかかえて教室から出て言った。
そのあとも可奈は何度もラブレターをもらったり、告白されたりしているみたいだ。
可奈、僕は可奈のことを信じている。
でもやっぱり可奈は、僕を不安にさせる。

「可奈っ」
帰り道、僕は後ろから可奈を抱きしめた。
「そ、想」
可奈は顔を真っ赤にして、僕の名前を呼ぶ。
「可奈、大好きです。綺麗な可奈。優しい可奈。一生僕の側にいてください。どこにもいかないで!」
彼女は驚きを隠せない様子で、恥ずかしがりながらも、こくりとうなづいた。
「いい、よ。ずっと側にいてあげる。でもかっこいいからって浮気したら八つ裂きにするかなっ」
いつもの憎まれ口。
そんな可奈が、たまらなく愛しい

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