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□雨乞いメリー
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『雨降らないかな。』
ふとした時に彼女の言葉が脳裏に浮かんだ。
別に、特別に雨が好きとかそういう訳でも無いらしい。
むしろ、湿度が凄くて髪が決まらなさ過ぎて雨自体は好きじゃないらしい
でも、彼女は決まって可愛らしいピンクの水玉の少し小さめの折り畳み傘を片手に朝会うとこう言う
『雨降らないかな。』
それを毎日のように言う彼女に一回だけ訊いた事がある。
「そないに、雨降って欲しん?」
そしたら、彼女はフッと笑って
『だって、雨が降ったら侑士と一緒にこの傘でくっ付いて帰れるでしょ?』
雨が降って欲しい理由が自分に有ると分かり少しだけ崩れかけたポーカーフェイスを保ちながら抱きしめた。
この腕の中にいるのは
雨乞いメリー
「そんな事せぇへんでも、くっ付いてられるやろ?」