short

□激情
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夏の蒸し暑さにうなされる物も多いいだろう

俺もその一人だ。

『…くっ…ま、雅治の…為なら…死んでも、良いよ…』
微笑むみながら涙を流す花音を眺めていると頬に暖かい何かがつたうのが分かる。
『泣かないでよ…私なら、良いから…』
と、花音が俺の頬に優しく触れようとする所で夢が覚める。

やけにリアルな夢にゾッとしながら汗ばむ体に張り付く髪の毛を払う
我ながらとても歪んだ夢を見るものだ…






『おはよう!!雅治♪』
幼馴染でもある俺達は何時もこうして一緒に学校へ行く。
「おはよう、さ、行くかの。」
「まーてー!!!」
なんて走りながらパンを銜えて走る丸いブt…もといブンちゃんが走ってくる
「なんじゃ、寝坊かの?」
『目覚ましは?』
「弟達が消しやがった…」
『あぁ、ご愁傷さま。』
「どんまいじゃ。」
何て、たわいも無い話を話しながらゆっくり学校に行くのが日常だ。
そして、ブンちゃんと花音は付き合っている。
俺のほうが幼馴染暦が長い、俺のほうがきっと花音を好きじゃと自信を持って言える。
でも、偽りの自分を創るのに慣れすぎて伝わらなかった、いや、伝えようともしなかった。
ある日花音がブンちゃんの腕を引いて『私達付き合う事になりました!!』と、にこやかに笑う花音は、幼なじみの俺でも見たことのない幸せに満ち溢れた笑顔だった。
その日以来この歪んだ愛情は夢に出て来て、最初は本当に殺していないか凄く不安であったが今は(また、あの夢じゃ…)で終わってしまう俺が恨めしい。
ただ、ただ。激情という名の物を取り払おうとすればするほど追いかけて来るスパイラル。ただ、ただ、激情でもいい夢のなかでも花音と会えるなら……
(願わくばあの日の笑顔を俺に向けて欲しい…)
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