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□時計塔の約束ー希望の鐘ー
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【時計塔の約束ー希望の鐘】







―何時からこんな事になっているのだろう。
今まではこんな事なかったのにー











 その日も、私は三人の友達と一緒におしゃべりをしていた。

「ねえ、昨日のドラマ、見た?」

聞いてきたのはその中の一人である、美紀だった。

「あ、見るの忘れてた」
「そういえば、私も見てない・・・」
「え、ヒナも泉も見てないの?ちなみに私は見たよ」

そう言ったのは理紗だ。
ちなみに、『ヒナ』というのは私のあだ名だ。
『雛乃』だから『ヒナ』。
美紀がつけたものだけど、結構呼びやすいらしい。
その呼び名に便乗して、『ヒナさん』と呼んでた人も以前いたっけ。

「昨日の話は面白かったのに。あ、録画してあるから今度貸そうか?」
「うん、貸して?」
「決まりだね」

美紀はいつも好きな番組を録画してまで見ている。
だから見忘れた時はよくビデオを借りる。
その日もそうだった。







 
次の日も、いつもと同じように美紀たちとおしゃべりをしていた。

「そういえば、もうすぐテストだね」
「そうだねー。勉強したくないなぁ」
「というか、勉強なんて嫌い」

・・・勉強が好きな人なんてそうそういないだろう。
私も嫌いだし。
もしそんな物好きな人がいたら是非見てみたい。

「何か、空気が重くなりそうだから他の話題にしない?」
「そうした方がいいと思う。ヒナちゃん、話題ない?」
「えっと・・・。じゃあ、最近聞いてる音楽とかは?」

泉に聞かれたが急だったため、こんな話題しか思いつかなかった。

「音楽かぁ。昨日発売されたばかりの曲を聞いたかな」
「あ、それって、前から楽しみにしてた曲?」
「うん、そうだよ」

美紀は欲しいものはほぼ毎回発売日に買う。
私も出来る限り発売日に買うほうだけど、美紀の方が回数は多い。
それは単に美紀の得意な事が情報収集だからだろう。
気がつくといろいろな情報を持っているし。

「で、どうだったの?感想は」
「すごくよかった」
「そっか。ねえ美紀ちゃん、今度貸して?」
「いいよ。今度持ってくる」
「ありがとう♪」

美紀と泉は好きな曲のタイプがほぼ同じだ。
だから二人はよくCDの貸し借りをしている。
私や理紗もよく借りているけど。

「あ、理紗ちゃん、この間言ってた本、持って来たよ」
「じゃあ、借りるよ」

本の好みはみんなほとんど一緒だけど。
でも、一番よく貸し借りしているのは泉と理紗。

「泉、その本は?」
「んー、ファンタジーかな。とっても面白いんだよ?」
「今度私にも貸して?」
「いいよ。美紀ちゃんも読む?」
「あ、うん」
「あ、でも、テスト終わってから借りるわね」
「まあ、私もテストが終わるまでに読めるかどうか分からないし。読み終わったらヒナに貸せばいいんだよね?」
「うん、そうだよ。ヒナちゃんが読み終わったら美紀ちゃんに、ね」

よくある回し読みだ。
私たちはいつもやっている。順番はいつもばらばらだけど。
それでも、読む事に変わりは無いので気にしない。

「じゃあ、この辺でね」

話しこんでいる間にどうやら分かれ道のようだ。

「じゃ、またね」

そう言って私たちは、それぞれ帰路についた。
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