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□Awake memory 番外編
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【Awake memory 番外編―現世での出会いー】
―私たちが初めて会ったのは、十二年前の、桜が舞う季節だったー
「綺麗な桜―・・・」
十二年前の、幼稚園の入園式の日。
桜を見ていた私は、後ろからそんな声が聞こえて振り返った。
そこにいたのは、同じ制服を来た女の子だった。
「綺麗、だよね・・・」
「うん」
これが、私とその女の子―理帆ちゃんーの初めての会話だった。
「私ね、今日からここに通うんだ」
理帆ちゃんは笑ってそう言った。
私は、この子も今日入園するんだと、すぐに分かった。
「ほんと?私もそうだよ」
「じゃあ、同じクラスになれるかな?」
「信じていればなれると思うよ」
この時、既に私と理帆ちゃんは仲良くなっていて、まるで昔から知っているかのようだった。
「名前・・・、教えて?」
「理帆・・・理帆だよ。私も、教えて欲しいな」
「優衣だよ。香帆ちゃんって呼んでいい?」
「もちろん。私も、優衣ちゃんって呼ぶね」
それは、入園式が始まる十数分前の、出来事だったー・・・。