とある科学の超電磁砲
□(タイトル未定)
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※シーンごとに視点が切り替わります;;
(初春視点)
「御坂さんの様子が変?」
「どういうことですか?」
白井さんから、相談があると言われて佐天さんと共にいつものファミレスに呼び出された。
普段、何でも一人で抱え込んで相談何て滅多にしてくれない白井さん。
一体何があったのだろうかと思って聞いていると、どうやら御坂さんの事で悩んでいたようだった。
「その、以前から私のスキンシップが悉く跳ね返されているのはご存じだと思うのですが」
「いつも電撃で反撃されてますよね」
「ええ。まぁ、私も反撃される事を分かっててやってますので、ある意味それはそれでスキンシップの一つとして捉えてるのですが」
「そこまで計算に入れてやってるとは。さすが白井さん、ほんと変態ですね」
「煩いですの。それはそれなんですが、最近、スキンシップを取ってくれないんですの」
「というと?」
御坂さんが白井さんの過剰なスキンシップを嫌がるのはいつもの事なんじゃ…。
あまりにしつこすぎて相手にもしなくなったのかもしれない。
とにかく、白井さんの話の続きを聞く事にした。
「…ですの」
「え?よく聞こえませんでしたけど」
「指一本、触れさせてくれなくなったんですの…」
それは、つまり…。
やっぱりそういうことですか?
「それって、本気で御坂さん、嫌がって…」
「ついに避けられるようになっちゃったんですか!?」
「えっと…本気ならきっと触れる前に電撃が飛んできそうですが、それもなくて。何というか…触れようとしたら慌てて避けられるというか」
「なるほど…。電撃するのも嫌なほど白井さんが嫌いになった、とか!?」
「まさか、そんな…いえ。やっぱりやりすぎたのでしょうか?それとも、私、他に何かお姉さまの気に障るような事でも…。本気でお姉さま、私の事を嫌いになってしまわれて?」
白井さんの言葉に何となく引っ掛かりを覚える。
ただ、佐天さんの言ってることは違うと思う。
そこまで嫌いなら、関わろうとすらしないんじゃないかなぁ。
でも、今までの普段の二人を見ていたら、本気で白井さんを嫌いになってるような様子はなかったし。
今はとりあえず、本気で悩んで落ち込んでる白井さんを励ます事にした。
「まぁ、佐天さんは言い過ぎですが、御坂さんの事ですから、きっと何か理由があるんですよ」
「理由、ですの?」
「はい。今までの白井さんと御坂さん見てたら、ここ最近でそこまで嫌うそぶりを見せるくらいなら、もっと前から嫌われててもおかしくなさそうじゃないですか。でも、何だかんだ電撃で反撃しながらも、御坂さんは白井さんを本気で退けたりしなかった。だから、きっと本気で嫌われたわけじゃないと思いますよ」
「すみません、さっきは冗談が過ぎました。初春の言う通りですよ。もういっそ、御坂さん本人に聞いてみたらどうですか?」
「お姉さまの事ですから…聞いた所で正直に話してくれるかどうか…」
御坂さんに対していつも積極的な白井さんがこんなに消極的になってるのは珍しい。
でも、だからこそ、分かる。
白井さん、普段から御坂さんに好きだとか言ってるけど、本気で御坂さんの事、好きなんだなと。
ここは白井さんの背を押してあげないと。
「大丈夫ですよ、白井さん。1回じゃ無理でも、何度でもチャレンジしてみたらいいんです。不安になったら、いつでも私達が相談に乗ります。だから、ね?」
「それこそ、朝でも昼でも夜中でもいつだって大丈夫です」
「初春、佐天…」
(佐天視点)
白井さんから相談を受けた翌日。
私たちは今度は、御坂さんから呼び出された。
白井さん抜きで。
このタイミング…白井さん絡みの相談かもしれない。
「それで、私達を呼び出して、どうしたんですか?」
「ちょっと相談に乗って欲しくてね」
「もしかして、白井さんの事ですか?」
この場に居ない白井さんの名前を挙げてみる。
どうも図星だったみたいで、御坂さんは焦った顔をしていた。
何でそこまで焦るんだろう。
「な、何で分かったの!?」
「だって、白井さん抜きで私達だけ呼び出してるじゃないですか。それって、白井さんに聞かれたくない相談だからですよね?」
「つまり、白井さん本人の事について、もしくは白井さんが聞くとまずい事、のどちらかくらいしかないですよね?」
「う…お見通し、かぁ。まぁ、その通りなんだけどさ」
「で?白井さんの事で相談したい事ってなんですか?もしかして、白井さんのスキンシップが激しすぎて困ってる、とか!?」
「スキンシップが多すぎて嫌いになった、とか…?」
昨日の白井さんの相談が引っ掛かってたんだろう。
私は少し冗談半分に言ってみただけなんだけど、初春は恐る恐る聞いていた。
…もし、初春の問いかけを肯定する事があったら。
初春はどう思うんだろう。
白井さんと、今まで通り過ごせるのか分からない。
「え!?いや、違う違う!いや、スキンシップが激しくて困ってるのはそうかもしれないけど、嫌いになんてならないわよ!」
「それを聞いて、安心しました。それで?過剰なスキンシップを何とかしたいって相談ですか?」
「ええっと、うーん…。どうにかならないかなぁとは思うんだけどね。それとはまた別というか」
「別、ですか?」
「うん。ちょっとね…最近、自分の気持ちがよく分からなくって」
御坂さんの気持ち、かぁ。
とりあえず、聞いてみない事には何も始まらないかも。
とにかく、御坂さんの話を聞いてみよう。
「御坂さんの気持ち、ですか?」
「うん。黒子からのスキンシップはずっとあったんだけどね。最初はうっとおしくて反撃してたんだけど…最近はちょっと自分の中で何かが変わったっていうか。黒子に触れられたらどうにかなっちゃいそうな、何かそんな感じがするのよね」
「えっと…」
「それって…」
もしかして、御坂さん…。
まだ自分で気づいてないみたいだけど。
その答えはきっと。
「だから、相変わらず黒子は私に抱き着いたりしてこようとするんだけど、つい避けちゃって。黒子、普段あれだけ私に好きとか言ってるから気にしてきゃいいんだけどね…」
初春と顔を見合わせる。
二人でコクリと頷き合った。
「ねぇ、御坂さん。話を聞いてて思ったんですけど、それって恋じゃないですか?」
「へ!?私が、黒子に!?恋!?いやいや、そんな。だって、私も黒子も女の子よ?そんな、同性なんて」
「愛に性別は関係ありません!そもそも、さっき御坂さん自分で言ってたじゃないですか。普段から白井さんが御坂さんの事を好きだとか言ってるーって」
「え?黒子の好きは、愛じゃないでしょ?憧れとか、そういう好きじゃないの?」
「御坂さん…」
御坂さん、気づいてなかったんだ。
こりゃ白井さんの気持ちが簡単に振り払われちゃうわけだよ。
でも、そういうことなら。
「とにかく、御坂さんのその気持ちは、恋で間違いないと思いますよ」
「でも」
「じゃあ想像してみて下さい。もし、白井さんが他の人と付き合うことになったらどう思います?」
「もしくは、白井さんが御坂さんを置いていなくなっちゃったら?」
「黒子がいなくなる…そんなの…」
「御坂さん。御坂さんが一番大事に思っていて、一番傍にいて欲しいと感じるのは誰ですか?それが答えですよ」
「…そっか。私、黒子の事、好きなんだ」
自分の気持ちに気づけたのなら、あともう一押し。
昨日の白井さんの相談の件もあるし、何でもするつもりだ。
「御坂さん、それでどうします?」
「どうって…」
「その気持ち、伝えなくていいんですか?」
「伝えるっていっても…さっきも言ったけど、最近ちょっと黒子を避けちゃってるから…伝えにくいというか」
「白井さんなら大丈夫だと思いますよ。ね、初春」
「はい。…此処だけの話ですから、私達から聞いたって白井さんには言わないで下さいね」
「佐天さん?初春さん?」
本当は、白井さんはそんな相談をした事は御坂さんには黙ってて欲しいんだろうけど。
ごめんなさい、白井さん。
御坂さんを安心させてあげる為にも、昨日の話、させてもらいますね。
「実は昨日、私と佐天さん、白井さんから相談を受けてたんです」
「黒子から、相談?」
「はい。御坂さんが、最近全くスキンシップを取らせてくれないって。そう言って凹んでました」
「スキンシップ以外に何か気に障る事でもしてしまったのか、御坂さんに嫌われてしまったのかって悩んでましたよ」
「黒子…」
「あの白井さんが、珍しく私達に相談してくるほどですから、余程気にしてますよ。でも、もしそんな白井さんに御坂さんがその気持ちを伝えたら…」
「白井さん、喜ぶんじゃないですか?いえ、もしかすると安心して泣き出しちゃうかもしれませんよ?」
「…そうね。そうかもね」
「明日、何の日だか知ってます?」
「…バレンタイン、でしょ?」
「気持ちを伝えるにはちょうどいい日だと思いません?」