とある科学の超電磁砲
□頑張る君が好き
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(※美琴視点)
「黒子遅いなぁ…。風紀委員の仕事が忙しいのかなぁ」
向かいのベッドを見ながら思わずそんな事を呟く。
随分遅い時間になっているというのに、ベッドの主はまだ帰ってきていない。
風紀委員をしている黒子は、忙しい時には門限を過ぎて帰ってくることも多々あるけれど、今日はまた一段と遅い。
もう既に消灯時間も過ぎている。
そろそろ心配になってきたし、一度電話でもしてみようか…。
と思っていたら。
ガチャリ。
ドアの開く音がして。
黒子が帰ってきた。
「おかえり、黒子」
「ただいまですの、お姉さま。まだ起きていらっしゃったんですのね」
「寝ようかなとも思ったんだけどね。アンタが中々帰ってこないのが気になっちゃって。風紀委員の仕事、忙しかったの?」
「何故か今日はやたら事件が多くて…。後処理などしていたらあっという間にこんな時間に…」
そう言う黒子の表情は、本当に大変だったようで何処か疲れ切った表情をしていて。
その表情を見たら、つい甘やかしたくなって。
「遅くまでお疲れ様、黒子。ほんとよく頑張るわね」
「お姉さま…!?」
思わず黒子を優しく抱きしめて、頭を撫でていた。
普段こんな事しない処か、黒子が抱き着いてきたらつい電撃を放ってしまっている私。
だからか、黒子はちょっと驚いていたようだった。
でも、よく見たら、驚きつつも、その顔は少し赤く染まっていて。
いつも激しいスキンシップ取ってくる割には、その実照れ屋さんなんだなぁと思うと、黒子がとても可愛く見えた。
「お姉さまから抱きしめて下さるなんて…!疲れが飛んでいきそうですの」
「たまにはいいじゃない?ねぇ、黒子。…大好き」
「…!?お、お姉さま…」
想いが自然と言葉になって零れ出た。
抱きしめていた腕の力を、更に強くしてギュッと抱きしめる。
温かい黒子の体温が伝わってきて、すごく心地いい。
中々素直に気持ちを言葉になんて出来ないから、次に言うのはいつになるだろう。
「お姉さま…。黒子も、黒子もお姉さまの事が、大好きですの!お姉さまとずっと一緒にいたいですの!」
「うん、私も。私の隣にはいつも黒子にいて欲しい。パートナーとして」
「運命の赤い糸という意味だと捉えてよろしいんですの?」
「もちろん」
私の腕の中に抱きしめられながら、黒子は自分からも腕を私の背中に回して強く抱きしめてきてくれた。
その顔は、恥ずかしいのか真っ赤に染まっていたのが見えた。
腕の中にいる黒子には見えないだろうけど、きっと、普段素直になれない私の顔も、朱く染まっているだろう。
ようやく想いが通じ合った夜。
その日、私たちは同じベッドで寄り添いあって眠った。
fin.