偏った書庫

□食卓
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それに気付かなかったのは、緒方さんが僕の知らない間に電気をつけていてくれたかららしい…。
何だか、早々一局負けた気分…。


「泊まっていけよ、もう暗いし。帰っても一人だろ?」
「…はい。」

こういう時、大きくなって良かったなぁって思う。
前々から約束しなくても、両親に聞かなくても、お泊まりできるなんて…。
ちょっと悪いことしてる気になるけど…コレもいい。

「じゃあ、僕がお夕飯作りますよ。お宿代に」
突然お泊まりっていうのもちょっと悪いかなぁと思って、ちゃんと笑顔で言ってあげたのに。

「そんなことしてくれなくても、君が一緒にいてくれれば…。」

甘い言葉を囁きながらちゃっかり手を腰に回してきた。

「ちょっ…!緒方さんヤラシイっ!」
「痛ッ!」

悪いことする手は思いきりつねってあげた。
「もぅ、大人しく待ってて下さい!」

ソファまでぐいぐいと押して、座らせた。
緒方さんにはテレビでも見てて貰って…。
僕はご飯を作らなくちゃ。

やる気を出して腕捲りでキッチンに乗り込んだのはいいものの…。
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