偏った書庫

□現在、過去、そして。
2ページ/10ページ


「…虫干しを兼ねて、ちょっと出しておくか。」
「そうですね。」

たまたま今日は塔矢家にいたのも何かの縁だろう。
今年は俺とアキラで人形を出してやることにした。

「確かここに…、あ、あった。」

大きな押し入れから大きな箱をよたよたと担ぎ出す。

「これ一つか?」
「いいえ、あと二箱…雛壇は別ですし。」
「雛人形を飾るのって重労働なんだな…。」

甘くみていた。

「さ、緒方さん早くやりますよ!」
「はいはい。」

めいめい箱を抱えて部屋へ運ぶ。
それほど重くはないのだが、箱がやたらとがさばる。

「ア、アキラ…前が見えない…。」
「何言ってるんですか、しっかり運んで下さい。」

段々とアキラが明子さんに見えてきた…。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ