偏った書庫
□おにはそと
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2月3日。
アキラくんは幼稚園でみんなと鬼のお面を作りました。
何故なら今日は節分だからです。
「おにはーそと、ふくはーうちってお豆を投げるのよ?」
と先生に教わって、鬼のお面をつけた園長先生に皆でお豆を投げました。
「おうちに帰ったら、今日作ったお面をおうちのひとに見せてあげましょうね」
「はーい!」
皆元気よく返事します。
アキラくんは早くおうちに帰りたくてうずうずしていました。
今日のお面は、いっしょうけんめい塗った甲斐あって自分でも惚れ惚れしてしまう出来です。
真っ赤な顔に、黄色の髪。
先生やおともだちも
「アキラくん、じょうずに塗れたね」
「アキラくんすごーいじょうず!」
と口々に誉めてくれました。
おうちに帰って、みんなに見せたらきっと誉めてくれるに違いありません。
「えへへ」
おうちに帰るバスの中でも思わず笑みがこぼれます。