偏った書庫
□沈む月
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夜がやってくると決まって貴方は僕の手を引く。
嫌ではないけれど。
そうして僕は決まってシーツの波に沈められるんだ。
嫌ではないけれど。
決して嫌ではないけれど。
時々不安になる。
僕だから、ですか?
それとも、都合がいいから…ですか?
貴方の手は優しい。
言葉も唇も総て。
それなのに、どこかが痛いのは何故?
「アキラ…」
優しく名前を呼ぶときは、何かを求めている証拠。
「何ですか?緒方さん…」
優しく微笑してあげる。何でも聞いてあげますよ…って。
そうしなきゃ喧嘩になっちゃうもの。