偏った書庫

□沈む月
1ページ/6ページ

夜がやってくると決まって貴方は僕の手を引く。
嫌ではないけれど。

そうして僕は決まってシーツの波に沈められるんだ。
嫌ではないけれど。

決して嫌ではないけれど。

時々不安になる。

僕だから、ですか?
それとも、都合がいいから…ですか?

貴方の手は優しい。
言葉も唇も総て。

それなのに、どこかが痛いのは何故?

「アキラ…」

優しく名前を呼ぶときは、何かを求めている証拠。

「何ですか?緒方さん…」

優しく微笑してあげる。何でも聞いてあげますよ…って。
そうしなきゃ喧嘩になっちゃうもの。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ