偏った書庫

□さくらさくら
1ページ/10ページ

春の柔らかな陽が窓から広がって行く。
もう外には気怠いような、心地よいような、
「春」の雰囲気が立ちこめていて。

僕はそれを、棋院の窓枠から眺めていた。
体に注ぐ陽は優しいけれど、ただそれだけでは少し淋しい。
お昼の休憩時間になったら、少し外に出てみようかな。

お昼ご飯も外で食べて…。
明るい陽の下に出ようか。

部屋の角に蟠る小さな暗闇を振り返ってそう思った。


今日の催しは思ったより人出が少なくて、早く抜けられた。
皆やっぱりこの陽気に誘われて、外へ出かけてしまったのかな。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ