偏った書庫
□甘い生活
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仕事を終えて、家路に着く。
目指すのは小さな頃から慣れ親しんだ家。
見慣れた引き戸を開ける。
「ただいまっ」
言い慣れた言葉。
だけど、心なしか弾んでしまう。
僕は今ちょうど自宅で”一人暮らし”で。
でもそのせいで浮かれている訳ではなく。
「お帰り」
奥から返ってくる返事。聞き慣れた声。
落ちついたトーン。
大好きな声。
足音が近づいてくる。
「やっぱり先にいらしてたんですね」
「君に頂いた合鍵を活用させて貰ったよ」
お出迎えしてくれた彼に飛びつく。
「ただいま、緒方さんっ」