偏った書庫

□今日光る河を越えて
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ここのところ、一緒にいてもよく空を見ている君。

ずっと外を向いてばかりの君を後ろから抱きしめた。

「何かあるの?」
「あ、緒方さん」

小さな頭が振り返る。
『あ、』だって?
俺のこと忘れてたな?
ここは俺の家だぞ。

「最近、よく空を見てる」
「あ、ぃえ、別に…」

そう言って目をそらすのは何かがあるときの決まりきった反応。

「ふぅん…」

特に追求はせずにおく。
もうアキラだって随分大きくなった。
昔と違って思う所も増えたんだろう。

この子が俺を必要としない限り、
プライベートな部分には無闇に踏み込まないようにしよう。
求められた時はどんな大きな事でも受け止めてやろう。

この子が中学を卒業して、プロ一本になってからそう決めていた。
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