偏った書庫

□食卓
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パチッ。

「ぅ……」

「さぁ、どうだ?」

「…ありません。」

「有難う御座居ました」
「ありがとうゴサイマシタ」


ジャラジャラジャラ。
白黒マダラの盤上を片付ける。
今度こそはと思ったのに。

一勝二敗。結局負けてしまった。

「あーぁ…絶対勝てると思ったのに。」

「その油断が命取りだ」

緒方さんは勝者の余裕の笑みを浮かべている。本当に本当に、あともう少しだったんだ。
僕もまだまだ、甘いなぁ…。
すっかりキレイに片付けて、白と黒の碁石を碁笥にしまう。
でも僕の心の中はこんなに白黒割り切れない。

「ねぇ緒方さん、もう一局だけ…!」

「別に構わないが、それなら泊まりだな」

「えっ?」
思わず周りを見渡した。
さっきまで明るいと思っていたのに、いつの間にか外は真っ暗になっていた。
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