偏った書庫
□食卓
1ページ/8ページ
パチッ。
「ぅ……」
「さぁ、どうだ?」
「…ありません。」
「有難う御座居ました」
「ありがとうゴサイマシタ」
ジャラジャラジャラ。
白黒マダラの盤上を片付ける。
今度こそはと思ったのに。
一勝二敗。結局負けてしまった。
「あーぁ…絶対勝てると思ったのに。」
「その油断が命取りだ」
緒方さんは勝者の余裕の笑みを浮かべている。本当に本当に、あともう少しだったんだ。
僕もまだまだ、甘いなぁ…。
すっかりキレイに片付けて、白と黒の碁石を碁笥にしまう。
でも僕の心の中はこんなに白黒割り切れない。
「ねぇ緒方さん、もう一局だけ…!」
「別に構わないが、それなら泊まりだな」
「えっ?」
思わず周りを見渡した。
さっきまで明るいと思っていたのに、いつの間にか外は真っ暗になっていた。