偏った書庫

□Hard way to Heaven
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『お帰りは何時ですか』

昼過ぎにアイツから来たメールはたった一行。
その一行で今日は家へ帰ることに決めた。


今更誕生日でそわそわする年でもなし、誘われなければ別に何をする気も無かった。
去年よりもいい酒を飲み、また一つ老けたことに一つ嘆息をつくくらいだ。

しかしあんな上客に誘われたら話は別だ。

『食事には間に合うように帰る』

『では十時ころまでに』


その文面を確認して、パタンと携帯を閉じた。

十時、か。随分控え目だな。
もうきっと俺の家でせかせかと準備してるだろうに。
前日には手料理を食べて日付変更と共に乾杯をするのが決まりだ。
元々、今日はそんなに大した用事はないんだ。すぐ帰れるだろう。
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