偏った書庫

□ごあいさつ
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俺は師匠の幼い息子、アキラが同い年の子供と遊んでいるのを見たことがない。
まだ幼稚園に行く年でもないし、近所に子供もいない。
それに、この特殊な環境もあるんだろうか。
この研究会で一番年下の俺はそのせいだろうか、
何故かアキラに懐かれていた。

研究会が終わった後や酒宴の間など、未成年者が爪弾きにされる場面で俺はよく別室でアキラの相手をさせられた。
自分から望んだことではないが、かといって嫌な訳ではなかった。


「おがたたん、みてみて」

アキラは楽しそうに何か、体操かダンスのようなものを踊りだした。
子供番組でやっているものらしい。

「上手だね、アキラ君」
すると何だか恥ずかしそうにえへへ、と笑った。

最近アキラはものを覚えるのが楽しくて仕方ないらしい。
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